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3歳児の発達過程と保育のポイントを解説

笑顔でカメラの方向を見つめている子ども
3歳児の保育のポイントは「自分で」の気持ちを大切に育てることです。自立心の芽生えを温かい目で見守り、「やってみよう」という気持ちが育まれるような環境を設定していきましょう。今回は、3歳児の発達過程と保育のポイントについて解説します。

3歳児の発達過程とは

3歳児の発達過程について、生活習慣・運動・言葉・社会性・概念の5つの観点から確認していきます。保育園入園の時期や月齢による発達の差が大きいので、めやすとして参考にしてください。

生活習慣

椅子に座ってご飯を食べている女の子
自分の食べられる食材や量を把握し始め、友だちと一緒に楽しく食事ができるようになります。トイレでの排泄や衣服の着脱など自分でできることが増えてきますが、部分的に保育士の手助けが必要な場面もあります。

運動

走る・跳ぶ・投げるなどの基礎的な動作ができるようになり、全身を使って遊べるようになります。手指の動きも器用になり、ハサミやノリを使った製作もできるようになります。

言葉

言葉への関心が高まり、新しい言葉を積極的に使いたがります。2歳のイヤイヤ期を経て「だって〜だもん」と、自分なりの理由を言葉で主張するようになります。

社会性

仲間意識が芽生え「みんなと同じ」を好むようになります。みんなで過ごすためには決まりがあることを知り、ルールを守ろうとします。順番を守ったり、分け合ったりできるようになり、友だちとの関わりがさらに楽しく感じるようになります。

概念

道端の植物を触っている男の子
「いっぱい・ちょっと」や「大きい・小さい」がわかるようになります。また、簡単な形や色もわかるようになり、身近な物の名称も覚え始めます。自分の年齢や性別も言えるようになってきます。
 

保育のポイントは?

緑色のバケツを持っている女の子
3歳児クラスでは、友だちとの関わりを大切にしながら主体的な活動を保証していきたいですね。ここからは、保育を行う上でのポイントを解説します。

ねらいと関わり方

保育所保育指針に記載されている《3歳以上児の保育に関するねらい》は以下の通りです。
【健康】 
①明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう
②自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする
③健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け、見通しをもって行動する
 
【人間関係】 
①保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう
②身近な人と親しみ、関わりを深め、工夫したり、協力したりして一緒に活動する楽しさを味わい、愛情や信頼感をもつ
③社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける
 
【環境】 
①身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ
②身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする
③身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字に対する感覚を豊かにする
 
【言葉】 
①自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう
②人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう
③日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、言葉に対する感覚を豊かにし、保育士等や友達と心を通わせる
 
【表現】 
①いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ
②感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ
③生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ

出典:保育所保育指針(平成29年告示)/こども家庭庁 >>詳細はこちら
上記のねらいと子どもの姿を踏まえ、3歳児クラスのねらいを考えます。

【ねらいの例】
  • 自分で身の回りのことをしようとする
  • いろいろな動きを楽しみ、身体を動かす心地よさを味わう
  • 友だちに親しみを感じ、安心して活動できるようになる
  • 経験したことや考えたことをさまざまな方法で表現する
  • 遊びや生活の中できまりがあることを知り、守ろうとする

3歳児は発達的に援助が必要な部分もありますし、大人に甘えたい気持ちもまだ持ち合わせている年頃です。子どもの様子に応じて必要な援助は行いつつ、子どもの主体性や友だちとの関係を育んでいきたいですね。

3歳児の姿と対応方法

地面に寝転んで泣いている男の子
3歳児は友だちのしていることにも興味を示すようになり、おもちゃや場所の取り合いが多くなってきます。自己主張する力が育ってくるので、「Aちゃんが使ってた!」「Bちゃんが使ってた!」とお互いがそれぞれの主張を言い合うケンカが見られるようになります。どちらも譲らないやりとりが続くと、我慢しきれず手が出てしまうことも。子どもは「自分の気持ちをわかってほしい」という思いを抱えているので、保育士が気持ちを汲み取る役割を担いましょう。

また「どうしたの?」と気にする子もいるので、「AちゃんもBちゃんも使いたいんだって。どうしたらいいと思う?」と聞いてみてもいいですね。友だちの気持ちを想像できるような働きかけを意識してみましょう。

おすすめの遊び・活動例

バケツに入ったさつまいもを洗おうとする男の子
3歳児は色や数に興味を示す時期なので、遊びの中で積極的に取り入れていきましょう。 また友だちと一緒に遊ぶことにも興味を持ち始めるので、簡単な動きやルールのある集団遊びもおすすめです。

ここからは、3歳児におすすめの遊びや活動をご紹介します。

屋外遊び

屋外では身体を伸び伸びと動かして遊びたいですね。友だちとの関わりが増え、ルールを守って遊べるようになってくるので、集団遊びも取り入れると良いでしょう。

【運動遊び】 
  • かけっこ
  • 玉入れ
  • 三輪車
【集団遊び】
  • 色鬼(いろおに)
  • かくれんぼ
  • しっぽ取りゲーム

 室内遊び

グロックを積み重ねている男の子
室内では友だちとのやりとりが広がる遊びを準備します。身体を動かす遊びを行う時は、十分な空間を確保した上で行いましょう。
【友だちの関わりを広げる遊び】
  • 積み木
  • ごっこ遊び
  • 指人形・ペープサート
【色を楽しむ遊び】
  • スタンプ遊び
  • お絵かき・塗り絵
  • フィンガーペインティング
【身体を動かす遊び】
  • ダンス
  • マット運動
  • リズム遊び


クラス運営で気をつけること

白い帽子を被っている女の子
子どもが生活しやすい空間作りを意識しましょう。3歳児には「わかりやすさ」が大切です。「どうしたらいいのか、わからない」「どこに置いたらいいのか、わからない」など、わかり辛い状況が多くなると不安を感じてしまいます。「先生、どうしたらいいの?」と保育士に頼る機会が多くなり、この時期に大切な「自分で」という主体性が失われてしまいます。

物の置き場所は絵表示をつけることで、片付けがしやすくなります。生活の中で意識することもイラストにして掲示しておくとよいでしょう。子どもたちの様子に合わせて環境を変えたり整えたりすることで、主体的に生活できる環境を作りましょう。

甘えを受け止めつつ自立をサポートしよう

いかがでしたか? 3歳児は自立心が芽生え、自己主張が増える一方で、まだ甘えたい気持ちもある時期です。子どもの姿を温かく受け止めながら、成長をサポートしていきたいですね。3歳児クラスの担当になった保育士さんは参考にしてみてください。

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佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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