0歳児の発達の特徴
まずは0歳児の発達の特徴をご紹介します。「遊びの選び方のポイントが分からない」という方は、この時期の子どもたちの発達を意識して選ぶようにするのがおすすめです。言葉の発達
生まれたばかりの赤ちゃんは、もちろん喋ることができないので、泣くことで快、不快を表します。その後発語の最初の段階としては、始めに「あー」「うー」などの喃語(なんご)を発する姿が見られます。保育者が語り掛けたりやさしく相槌を打ったりすることで、コミュニケーションを学んでいきます。1歳近くになると、「まんま」「ぶーぶ」など一語文を使うようになります。「まだ言葉が分からないから...」と思わずに、遊びの際にも積極的に言葉かけをすることが大切です。運動能力
0歳児の体の運動機能は、始めは手足を軽く動かせるだけの状態から、おおよそ1歳頃には歩けるようになるほど、著しいスピードで成長します。首が座り、寝返り、おすわり、ハイハイ、つかまり立ち、伝い歩き、ひとり歩きと、順番にできる動作が増えていきます。手指に関しても、反射で握る状態から、意思を持って握る、親指とその他の指を向かい合わせて物を持つ、手を放す、引っ張る、つまむ、押すといったように徐々に細かな動きができるようになっていきます。1つひとつの成長のきっかけになるように、適した遊びを促していきましょう。▼合わせて読みたい!
0歳児の遊びのポイント・注意点・配慮
0歳児の遊びのポイントや、保育者が意識したい注意点、配慮をお伝えします。どのような視点で遊びを選べばいいか迷う方は、参考にしてみてください。1つの遊びに捉われすぎない
0歳児は、1ヶ月経つごとにできることがどんどん増えていく、成長のスピードがとても速い時期です。いろいろな角度から発達を促すためにも、危険が無い限り、さまざまな遊びを取り入れることが大切です。五感のうち特に、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」を体験できる遊びを意識して取り入れるといいでしょう。安全面に配慮する
0歳のうちは、触ったものは何でも口に入れて確かめる行動が見られます。誤飲に繋がる小さなおもちゃやゴミが周りにないように、注意して環境作りを行いましょう。また、誤飲の危険が無いおもちゃでも、誤って舐めてしまっても問題がないか、あらかじめ確認をしましょう。使い終わったおもちゃは消毒を行うことで清潔に保ち、感染症などの対策を行うことも大切です。また、ハイハイ期以降は少しずつ活動範囲が広がり、いろいろな場所に興味を持って移動していきます。遊びのスペースは広く確保し、ケガの危険がある障害物は置かないようにしましょう。
色のはっきりしたおもちゃを使う
0歳児のうちは、視覚がまだ発達しておらず、生まれたばかりのときはぼんやりとしか見えていないと言われています。おもちゃを使って遊ぶ際は、できるだけ色のコントラストがはっきりしたものを選ぶようにするといいでしょう。手の発達を起点に遊びを取り入れる
遊びを通じて運動機能の発達を促すのであれば、手の発達を起点に置くと良いでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんの手は、自分の意思ではなく、何かに触れた反射で握っています。この時期に手を伸ばした先で握れるおもちゃやモビールを置くことで、意識的に「握る」という動作ができるようになっていきます。手のひら全体で意識的に握る動作ができるようになると、ボールなどを持った遊びができるようになります。両手を使って遊べるようになるので、片方の手に持ち変えられるようなおもちゃを渡したり、センサリーマットなどで手先の感触を体験できたりするようにします。
次に、親指と4本指を向き合わせて握り、持ったものを意識的に「離す」ことができるようになります。大き目の穴が開いたポットン落としや、輪投げ(輪っかにリングを通す)遊びを楽しめるようになります。
ハイハイ期になると、「つまむ」「ボタンを押す」などの指を使った細かい遊びができるようになっていきます。つみきや、ボタンのついたおもちゃを与えるのがおすすめです。
このように、子どもの手の発達の変化を感じながら、遊びを取り入れていけると良いですね。
0歳児クラスの遊びのねらい
0歳児クラスの遊びのねらいの文例をご紹介します。0歳のうちは、月齢によってできることが大きく異なります。その時期に合った遊びを取り入れるためにも、発達段階に合ったねらいを立てることが大切です。今回は、0歳児の発達段階を「ねんね期」「おすわり期」「ハイハイ期」の3つに分け、それぞれの時期に合ったねらいの例をご紹介します。ねんね期のねらい
- スキンシップを意識する
- 原始反射を使った遊びを取り入れる
また、3ヶ月くらいになると、反射ではなく、自分の意思で握れるようになり、なんでも口に入れて確かめる時期です。おしゃぶりや歯がためなどの口に入れるおもちゃがあるといいです。
- おもちゃは音が出るものや色がはっきりしたモノを用意する
おすわり期のねらい
- 繰り返して遊ぶことを積極的に取り入れる
- 指先を使って脳を刺激する
- 音楽に合わせて体を動かすリズム遊びを取り入れる
ハイハイ期のねらい
- 全身を使う遊びを取り入れる
- やりとり遊びでコミュニケーションを取る
- 真似っこ遊びを通して繰り返しを楽しむ
0歳児クラスの遊び<ねんね期・0~5ヶ月頃>
0歳児のねんね期におすすめの遊びをご紹介します。この時期は、1日の多くの時間を寝て過ごします。起きている間も自由に動き回ることはまだ難しいので、聴覚で楽しめるガラガラ(ラトル)やわらべうた、感触を楽しめるにぎにぎや保育者とのふれあい遊びなどを取り入れると良いでしょう。他にも、モビールやふりこなどの視覚で楽しめる遊びを取り入れるといいでしょう。モビール飾り
春の菜の花をイメージした手作りモビールを飾り、ゆらゆらと揺れる目で追って楽しめるようにしましょう。動くものを目で追うことで、脳の刺激となり発達を促すことができるといわれています。また、月齢がおよそ3~4ヶ月頃になると、手を伸ばして触ろうとする動きもみられるでしょう。▼材料・作り方はこちら ▼こちらのモビールもおすすめ!
にぎにぎ(布おもちゃ)
赤ちゃんの頃から安心して使えるおもちゃとして、布おもちゃのにぎにぎがあります。このおもちゃ一つで、「掴む」「振る」「両手で持つ」「持ち変える」「落とす」などさまざまな動作に繋がり、子どもの手指の発達を大きく促してくれますよ。特に手作りの布おもちゃはガーゼなどの安全な素材作れるので、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。▼布おもちゃの簡単な作り方講座はこちら
センサリーボトル
ペットボトルの中に水と洗濯のり、絵の具、ビーズなどを入れて作る知育おもちゃをセンサリーボトルと言います。手に持つと、ボトルの中を色水やビーズがゆっくりきらめきながら動きます。子どもたちはそれを手に持ち、中身を観察したり振ったりして楽しみます。ジッパーのついた袋に同じ材料を入れて作る「センサリーバッグ」も、ひんやりとした感触を体験することができておすすめです。誤って蓋が開いてしまうと中身が出て危険なので、必ず蓋の部分はテープを巻いて補強をするようにしてくださいね。
▼詳しい材料・作り方はこちら
>>アクアリウム風センサリーボトル【製作】【手作りおもちゃ】
ペットボトルマラカス
振るとシャカシャカとした音を楽しめる、低年齢児向けの定番の手作りおもちゃです。作例ではペットボトルを使って作っていますが、0歳児にとっては少しサイズが大きいので、可能であればより小さなヨーグルトドリンクの空きボトルを使うのがおすすめです。中に入れるものも、ドングリが取れない時期にはビーズなどで代用できますよ。こちらも蓋の部分はしっかりと締めた上でテープで補強し、誤飲対策を行いましょう。
▼作り方はこちら
>>どんぐりマラカス【手作り楽器】【製作】
ふれあい遊び
ふれあい遊びは、大人とのスキンシップを通じて子どもが安心感を持ったり、他者と関わることの楽しさに気付いたり、全身の運藤機能の発達を促したりと、子どもにとって大切な成長のきっかけになる遊びです。子どもが横になったままできるものから、膝のうえに座らせて行うものまでさまざまなアイデアがあるので、ぜひ下記の一覧から月齢に合うものを探してみてくださいね。▼ふれあい遊びの一覧はこちら
>>ふれあい遊び20選【室内遊び】【イラスト解説】
布ひらひら遊び
透け感のあるシフォン素材や、ふわふわの感触がきもちいいバスタオルなど、いろいろな布と触れ合い感触を楽しむ遊びです。柔らかくて自在に変形できる布は遊び方が無限大。ねんね期の赤ちゃんには、シフォン素材の布をふわっと被せて反応を見たり、いないいないばあをしたりするのがおすすめです。お座り期には、保育士が布の両端を持ってひらひらと揺らし、動きを楽しみましょう。0歳児クラスの遊び<おすわり期・6~8ヶ月頃>
おすわり期におすすめの遊びをご紹介します。1人でおすわりができるようになると、両手を使って遊べるようになります。触覚が敏感になっていくので、手触りが優しい玩具や、センサリーマット、絨毯のふわふわな感触などを味わうことができるといいですね。いっぽんばしこちょこちょ
赤ちゃんの頃から楽しめる、最後にはこちょこちょをするわらべうたです。保育者は子どもの体に優しく触れ、スキンシップを通じて触覚を刺激しましょう。わらべうたは安心できる音程とリズムなので、繰り返し行うことで「もうすぐくすぐられるかな?」と予想できるようになっていくでしょう。▼詳しい遊び方、ポイント、アレンジ例はこちら
>>いっぽんばしこちょこちょ【室内遊び】【イラスト解説】
新聞紙びりびり遊び
新聞紙は柔らかく、加工もしやすいので、赤ちゃんでも安心して楽しむことができるおもちゃです。新聞紙を子どもに渡し、丸めたり割いたり被ったりして遊びましょう。0歳児さんは初めは遊び方が分からないので、保育者が目の前で破ってみるなどお手本を見せるといいでしょう。保育者が細かくちぎった新聞紙を上から降らせて、雪のように見立てるのもおすすめです。その際は、ちぎった破片を子どもが口に入れないように注意しましょう。
▼詳しい遊び方、ポイント、アレンジ例はこちら
>>新聞紙遊びまとめ15選【対象年齢別】【イラストあり】
風船タッチ
風船を子どもが手を伸ばして届く高さに吊るして、それを触ったり叩いたりする遊びです。おすわり期の子どもの場合、座った状態で手を伸ばせば届く場所に吊るすといいでしょう。触るとゆらゆら揺れたり、少し遠ざかってからまた戻ってきたりといった、ゆったりとした動きを楽しめますね。▼詳しい遊び方、ポイント、アレンジ例はこちら
>>保育に取り入れたい!風船遊び22選【ねらいと遊び方】【室内遊び】
緩衝材(プチプチ)遊び
緩衝材は、プチプチとしたユニークな感触で子どもが夢中になって遊べる素材の1つです。床に敷いてその上をハイハイで進んだり、手で握って気泡が潰れる感覚や音を感じたり、丸めてテープで留めて柔らかいボールにしたりと、さまざまな活用方法がありますよ。小麦粉粘土
小麦粉と水さえあれば作れる小麦粉粘土は、手軽に用意ができて、子どもが誤って口に入れてしまっても安心な便利な素材。握る、伸ばす、潰す、つまむ、ちぎる、こねるなど、さまざまな手先の動きに繋がります。食紅で着色すれば、色の違いを楽しむこともできますよ。小麦アレルギーがある子どもがいる場合は、アレルギー反応を起こす恐れがあるため取り入れないようにしましょう。アレルギーが無い場合も、誤飲の危険があるため粘土を口に入れないように注意して見守る必要があります。また、遊び終わった小麦粉粘土は雑菌が繁殖しやすいので、その都度捨てるようにしましょう。
寒天粘土
寒天粘土は、冷たくてプルプル、握るとグニャグニャした不思議な感触を体験できる感触遊びにピッタリの素材です。粉末寒天を入れる量を調整すると、さまざまな硬さの違いを楽しめます。また、いろいろな容器に入れることで、寒天粘土の厚さの違いを楽しむのもおすすめです。食紅を加えれば、透け感のある綺麗な色に染まるので、視覚への刺激にも繋がるでしょう。▼寒天粘土の作り方はこちら
>>感触あそび・形あそびが楽しめる!寒天ねんど
ボールプール
ビニールプール(なければ段ボールを繋げて作った枠など)にカラーボールをたくさん入れて、その中に入ってボールの感触を楽しむ遊びです。ボールに囲まれて手や足に当たる触感を感じたり、ボールをかき分けて泳ぐように進んだり、ボールを掴んだり、投げたり、寝転んだり...。赤ちゃんにとって多くの刺激を感じることのできる遊びですよ。遊んでいるうちに、プールから出ようとして子どもがバランスを崩して転んでしまうことがあります。ビニールプールの外側(下)にはマットを敷いておき、枠を乗り越えてもケガをしないような環境作りをしましょう。
0歳児クラスの遊び<ハイハイ期8~12ヶ月頃>
0歳児のハイハイ期におすすめの遊びをご紹介します。この時期は、さまざまなものに興味を示して、動き回ろうとします。保育者が少し距離を置いた場所から声をかけたり、マットで山を作ってサーキットコースを作ったりして、ハイハイの練習をするといいでしょう。また、10ヶ月を過ぎる頃にはつかまり立ちや伝い歩きをする子どもも出てきます。つかまり立ちができるような支えを用意したり、保護者が手を持ったりして、見守りながら遊ぶといいでしょう。ハイハイレース【室内遊び】【イラスト解説】
マットの上など柔らかくて安全な場所に子どもを座らせて、保護者が少し離れた場所から呼んでハイハイを促す遊びです。0歳児さんは競争というよりも、大人の後追いをしたり子どもが興味を持った方向に進んだりすること自体を楽しめるようにするといいでしょう。カラーボールや音が鳴るおもちゃを転がして、それを追いかけるのもいいでしょう。▼詳しい遊び方、ポイント、アレンジ例はこちら
>>ハイハイレース【室内遊び】【イラスト解説】
マット運動(サーキット遊び)
ハイハイ期になると、それまでよりもダイナミックな動きができるようになっていきます。マットを重ねて緩やかな山になるように置いて、その斜面をハイハイで登ったり下りたりして進んでみましょう。保育者は、子どもたちがよろけて転びそうになったらすぐに支えられる距離で見守ることが大切です。段ボールトンネル
段ボール箱を両端を開いてトンネル状にし、ガムテープで留めてトンネルを作ります。子どもたちは、ハイハイでトンネルを通り抜けて遊びます。トンネルに入ることを怖がる場合は、保育者が反対側から呼ぶ、いくつか側面に穴を開けて窓を開けることで光を入れるなどの工夫をしてみるといいでしょう。また、段ボールの縁は手を切りやすいので、必ずすべてガムテープで補強しましょう。強度のある布ガムテープを使うのがおすすめです。段ボールの側面は、子どもたちが絵を描いたりシールを貼ったりして装飾するのもいいですね。
スズランテープくぐり
スズランテープを1本の紐にたくさんくくりつけて、子どもたちがハイハイで通れるくらいの高さに吊るしてカーテンのようなものを作ります。子どもたちはそれをハイハイでくぐって、テープの感触やカサカサと鳴る音を楽しみます。スズランテープは割くと細かいゴミが出るので、誤飲に注意しましょう。シール貼り
0歳児の場合、狙ったところにシールを張り付けることはまだ難しいです。また、小さすぎるシールは台紙から剥がすのが難しいので、大きめのシールを用意して、枠などは決めずにとにかく貼り付けることを楽しむねらいで取り入れるといいでしょう。バルーンマット
圧縮袋に風船を詰めて、掃除機で吸って空気を抜いたらバルーンマットの出来上がり! 風船単体と違って強度があるので、バルーンマットの上に乗って跳ねたり、ゴロゴロと寝転がったりしても問題ありません。自由に動き回って、室内でも大きく身体を動かしましょう。使い終わったあとは、風船をばらしてそのまま風船遊びの活動に繋げるのがおすすめです。▼詳しい遊び方、ポイント、アレンジ例はこちら
>>バルーンマット【室内遊び】全国のおもしろ遊びアイデア紹介
日光浴・外気浴
まだ歩くことが難しい0歳児クラスでは、外遊びをどのように楽しめばいいか分からないと考える保育士さんもいるのではないでしょうか。0歳児の場合、園庭に出てお日様を浴びたり、外気浴をするだけでも、充分五感を刺激する遊びになります。戸外に出ることで、あったかい、寒い、風が気持ちいい、鳥の鳴き声が聞こえる、自然の匂いがするなど室内では触れられない感覚を感じることができるでしょう。おすわりやハイハイができるようになれば、地面に座って土に触れ感触や匂いを確かめたり、葉っぱを触ったりすることも出来ますよ。一方で、長時間戸外で過ごすことは、子どもにとって負担にもなります。「1日10分~15分程度」のように、時間を決めて外出をするのがよいでしょう。
製作遊び
0歳児クラスで製作遊びをする際は、何かを作ることをねらいに置くのではなく、感触遊びを楽しんだ先に、作品や成果物が出来上がるようなイメージで取り入れるのがよいでしょう。0歳のうちは、絵の具のひやっとした感覚を嫌がる子がいたり、目の前にある製作用の素材に興味を持たない子がいたりするでしょう。あくまで子どもが興味を持ち、遊びを楽しめているかが重要です。以下では、0歳児向けの製作としておすすめな技法の例をご紹介します。
<0歳児向けの製作技法>
- 手形・足形
- デカルコマニー
- スタンピング(たんぽ)
- 指スタンプ
- フィンガーペイント
- マーブリング