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0歳児の発達過程と保育のポイントを解説

笑っている子ども
まだ言葉が話せない0歳児を適切に保育するためには、発達過程や特徴をしっかり理解しておく必要があります。赤ちゃんの発育に合わせた保育を行い、生理的・心理的欲求を十分に満たしていきましょう。今回は、0歳児の発達過程と保育のポイントについて解説します。

0歳児の発達過程とは?

0歳児の発達過程について、運動・言葉・睡眠・食事・排泄の5つの観点から確認していきましょう。0歳児は月齢や発達による個人差が大きいので、以下の内容を目安として、一人ひとりに合わせた対応を心がけてみてください。

運動

木製の遊具にのぼっている子ども
寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ち、伝い歩きと順に運動機能が育まれ、1歳前後には一人歩きができるようになります。

手指も徐々に自分の意志で動かせるようになります。おもちゃを手に取ったり、小さな物をつまんだりできるように。1歳近くになると、クレヨンを握って線を描くようにもなります。

言葉

赤ちゃんは始めに「あー」「うー」などの喃語(なんご)を発します。大人が応答的にコミュニケーションを図っていくことで、1歳頃には「まんま」「ブーブー」など意味のある言葉(一語文)を話すようになります。

睡眠

0歳児は1日に12〜15時間ほど眠ります。月齢が低いうちは短時間の間隔で寝たり起きたりを繰り返します。徐々に夜の睡眠をまとめてとれるようになり、生活リズムができてきます。

食事

パンを手に持って食べている子ども
生後6ヶ月くらいまでは、母乳やミルクで成長します。その後、離乳食をドロドロの状態から開始。赤ちゃんの噛む力や飲み込む力に合わせて、少しずつ食材の固さや形状を調整していきます。

生後9ヶ月くらいになると、手づかみ食べをするようになります。

排泄

尿は膀胱に一定量貯まると、自然に排出されます。そのため1回の排尿は少量で、回数が多くなります。

ミルクや母乳だけ飲んでいる時期は1日に数回柔らかな排便がありますが、離乳食が始まると便に固さがでてきて便秘になる子もいます。

保育のポイントは?

0歳児を保育する上で、どのようなことを意識したら良いのでしょうか。保育のポイントを解説します。

ねらいと関わり方

斜め前を見つめる子ども
保育所保育指針に記載されている《乳児保育に関するねらい》は以下の通りです。
【健やかに伸び伸びと育つ】
①身体感覚が育ち、快適な環境に心地よさを感じる
②伸び伸びと体を動かし、はう、歩くなどの運動をしようとする
③食事、睡眠等の生活のリズムの感覚が芽生える
 
【身近な人と気持ちが通じ合う】
①安心できる関係の下で、身近な人と共に過ごす喜びを感じる
②体の動きや表情、発声等により、保育士等と気持ちを通わせようとする
③身近な人と親しみ、関わりを深め、愛情や信頼感が芽生える
 
【身近なものと関わり感性が育つ】
①身の回りのものに親しみ、様々なものに興味や関心をもつ
②見る、触れる、探索するなど、身近な環境に自分から関わろうとする
③身体の諸感覚による認識が豊かになり、表情や手足、体の動き等で表現する

出典:保育所保育指針(平成29年告示)/こども家庭庁 >>詳細はこちら
0歳児保育で大切なのは「生理的・心理的欲求を満たす」ことです。

生理的欲求を満たすために、一人ひとりの生活リズムに応じた食事や睡眠がとれるようにしましょう。心理的欲求は、保育士や保護者が愛情豊かに関わることで満たされていきます。喃語に応えたり、笑顔で関わったりすることで、子どもの自己肯定感も育まれていきます。

0歳児は運動機能が発達する時期です。遊ぶことで手指や足、身体を十分に動かし、機能の発達が促されていきます。赤ちゃんが興味を持ちそうなおもちゃを、動いて手に取れる場所に準備しておきましょう。

0歳児の姿と対応方法

子どもを抱きかかえながら背中を優しくたたく保育士
0歳児は「快・不快」を感じて表現します。「快」の状態であれば機嫌が良く、「不快」の状態であれば泣いて訴えます。

「オムツも変えたし、ミルクもあげたし、お昼寝もしたのに、なぜか泣き続ける」という場合は、体調を確認してみましょう。もしかしたら鼻づまりで呼吸がしづらいのかもしれません。

体調が良いのであれば、保育士にだっこしてもらいたいと訴えている可能性も。この場合は、密着することで安心します。だっこしながら触れ合い遊びをしたり、おもちゃで遊んだりしているうちに、赤ちゃんの心が満たされ、保育士から離れて遊べるようになります。

赤ちゃんの泣きに対応していると「今なぜ泣いているのか」がわかるようになってきます。わからないうちは、生理的・心理的欲求を満たすための働きかけをいろいろと試してみましょう。
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おすすめの遊び・活動例

絵本をめくろうとしている子ども
0歳児は遊びを通して運動機能を高めたり、人との関わりを深めていったりします。保育園で十分な体験ができるよう、赤ちゃんの姿に沿った環境を整えていきましょう。ここからは、0歳児におすすめの遊びをご紹介します。

身体を動かす遊び

赤ちゃんが興味を持って身体を動かしたくなるような環境を準備しましょう。遊びながら発達が促されていきます。
  • モビールをぶら下げる→ゆっくりと動くものを目で追う
  • ベビージム→手足を動かして触ろうとする
  • 少し離れたところにおもちゃを置く→寝返りを促す・ずり這いやハイハイを促す
  • マット遊び→ハイハイや歩行を促す
  • 体操→音楽に合わせて身体を動かす

人と関わる遊び

遊びを通して、人と気持ちが通じ合う喜びを感じられる機会を作っていきましょう。応答的な関わりを行うことで、赤ちゃんの情緒が安定していきます。
  • 絵本
  • いないいないばぁ
  • ハイハイ追いかけっこ
歌いながらスキンシップが図れる「わらべうた遊び」もおすすめです。

クラス運営で気をつけること

おもちゃで遊んでいる子どもを見守っている保育士
0歳児クラスでの注意点を確認しておきましょう。

誤飲

赤ちゃんは気になる物があると、何でも口に入れて確かめようとします。直径4cm以内のおもちゃは誤飲に繋がるので、保育室に置かないようにしましょう。また葉っぱやホコリなども口に入れてしまうので、保育室内を清潔に保つことも大切です。

転倒

カメラのほうを見上げている子ども
お座りやつかまり立ち、歩行などが安定せず、転倒しやすい時期です。頭を強く打ち付けないように気をつけたいですね。転んだ場所におもちゃが落ちていると、ケガをしてしまうので、周辺の環境には十分配慮しましょう。赤ちゃんの姿は日々変化していきます。目の前の赤ちゃんの発達を的確に捉え、安全に過ごせる環境を用意しましょう。

発達に合わせた環境を作ろう

いかがでしたか? 保育士との信頼関係の中で、赤ちゃんは毎日できることが増えていきます。発達に合った環境を準備して、赤ちゃんの育ちを見守っていきたいですね。0歳児クラスを担当する方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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