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保育者に聞いた夏期講習会で受けたいセミナー・研修内容とは【モニター調査】

ペンを持つ女性の手
毎年夏に全国各地で実施されている、保育・幼児教育に関する夏期講習会。多くの保育関係者が集い、保育の質を高めるために各分野のプロフェッショナルから学ぶ場となっています。今回は、保育者モニターへのアンケート調査で分かった「受講したいセミナー・研修内容」についてご紹介します。
【調査結果の転載について】
本調査結果については、以下の2点に対応いただければ転載することが可能です。
1. 出典元として「ほいくis」を明記
2. Webサイトに掲載する場合は下記のリンクを設置
URL:https://hoiku-is.jp/
※リンク設置ができない場合は、個別に問い合わせフォームからご相談ください。

夏期講習会とは

保育の夏期講習会とは、保育者の専門知識や技術の向上を目的とした園外で行う研修会のことです。

毎年7月・8月を中心に、全国各地で保育に関する夏季セミナーや講習会が開催されていて、さまざまな分野の専門家から保育に活かせる知識や実践内容を学べる機会となっています。

最近は会場での現地開催だけでなく、オンライン配信の研修や、会場とオンライン同時に行うハイブリット型で開催している講習会もあります。


夏季講習会の参加意向

ファイルを持つ女性
ここからは、ほいくisのモニターの皆さんから集まったアンケートの結果を見てみましょう。

モニターのプロフィール

質問1:ご自身が該当するお立場を回答ください。(複数選択可)
保育士・幼稚園教諭(有資格・現職) 87.9%(901件)
保育士・幼稚園教諭(有資格・非現職) 3.4%(35件)
保育学生 1.6%(16件)
小学校教諭・学童保育職員・放課後等デイサービス職員 4.2%(43件)
看護師・調理師・栄養士 2.6%(27件)
ベビーシッター・保護者・その他 5.0%(51件)
今回のアンケートでは、有資格・現職の保育士・幼稚園教諭(87.9%​​)​​の方から多くご回答をいただきました。その他には、非現職の保育士・幼稚園教諭(3.4%​​)や小学生関連の職員(4.2%​​)、ベビーシッターなど(5.0%​​)、子どもに関わるさまざまな職に就いている方々からもご回答をいただいています。

夏期講習会の参加予定の有無

夏期講習会に関する回答結果のグラフ
質問2:今年度、保育に関する夏期講習会・セミナーの参加予定はありますか?
はい 32.6%(334件)
いいえ 67.4%(691件)
今年度、夏期講習会やセミナーへの参加を予定している方は、回答者の約3割(32.6%)という結果でした。

講習会の多くは平日に開催されているため、夏休みがない保育園で働く職員にとっては、個人での参加はなかなか難しいかもしれません。

夏休みがある幼稚園や、休みの融通がききやすい職場では日程の調整はしやすいですが、受講料がかかる講習会も多いため、参加のハードルは高くなりそうです。職場のサポートによって参加している方もいるかもしれませんね。

夏期講習会で受けてみたい内容(プログラム)

受講したいセミナーに関する回答結果のグラフ
質問3:保育に関する講習会・セミナーで受けてみたい内容を教えてください(複数選択可)
発達支援(例:発達障害、グレーゾーンの子の対応)  67.1%(688件)
保育の活動(例:手遊び、歌、製作、体操、ダンス) 58.0%(594件)
子どもとの関わり方(例:声かけと見守り、噛みつき、イヤイヤ期の対応、性教育) 57.4%(588件)
保育知識(例:子ども主体の保育、不適切保育、海外の保育) 50.8%(521件)
保護者支援(例:ケガやトラブルの伝え方、家庭環境が気になる場合の支援など) 45.2%(463件)
業務内容(例:ICTの活用、日誌、ドキュメンテーションの書き方) 28.7%(294件)
乳児ケア(例:0歳児の発達、離乳食、病気、アレルギー) 25.1%(257件)
安全対策・事故防止(例:園バス、窒息や誤嚥の防止、災害時の対応) 21.5%(220件)
食育(例:園での栽培、栄養学、行事食) 17.8%(182件)
夏期講習会で受けてみたい内容として1番回答が多かったのは、「発達支援」(67.1%)でした。それに続く「保育の活動」(58.0%)や「子どもとの関わり方」(57.4%)、「保育知識」(50.8%)について学びたいと感じている方も半数を超えています。

その他には、「保護者支援」(45.2%)や「業務内容」(28.7%)、「乳児ケア」(25.1%)など、さまざまな分野への回答が見られました。

支援が必要な子への対応や子どもが夢中になれる遊びの内容、イヤイヤ期の子どもや子ども同士のトラブルの対応など、日頃の保育で困っている内容について学びたいと感じている方が多いのではないでしょうか。

講習会で学びたいテーマについて

ここからは、講演会で学びたいテーマについてのアンケート結果をご紹介します。

 発達支援

【学びたいテーマ】
  • 発達障害の子との関わり方
  • ダウン症のお子さんとの関わり方
  • グレーゾーンの子とその親の対応、保育の進め方
  • 発達障害の可能性がある保護者への伝え方
  • 保育園・保護者・支援する機関との連携
  • 愛着障害と保護者支援
  • 発達を促す手作りおもちゃ
  • 発達支援で障害ごとの傾向と対応例(ロッカーの上など高いところに登ってしまう子)質問形式で学べる研修があるとうれしいです。
  • 発達障害が疑われる子と小学校との連携について
  • 発達支援のある子と、グレーゾーンの子が複数いるクラスをどうやってまとめて進めていくのかを学びたい
  • 発達の気になる子や、家庭環境が気になる子を見つけた際の対応(どこに繋ぐのか、どういう対応をするべきか)を学べる研修があるとありがたいです。
発達が気になる子への対応だけでなく、保護者への伝え方について悩んでいる方が多いことが分かりました。保護者との信頼関係を壊すことなく、子どもにとってより良い支援へ繋げるための方法を知りたい、という保育者の皆さんの切実な気持ちが感じられます。

▼ほいくisオンライン研修で公開中の「発達支援」に関するセミナー動画はこちら

保育の活動

【学びたいテーマ】
  • ベビーマッサージやふれあい遊びについて
  • 運動会や発表会に役立つテーマ
  • 描画の指導法を学びたい
  • 運動遊びやリズムなど体を動かす遊びを体験したい。また、わらべうたや自然物を使った遊びをあまり知らないためそのような研修も受けてみたい。
  • それぞれの年齢、発達に応じた遊びの選び方を教えてほしい。
  • 室内遊びの紹介 室内コーナー遊びの作り方
保育で行う活動内容を知りたいという方も多く見られました。子どもの発達に合った体験を増やしたり、深めたりすることは、保育の幅を広げることにも繋がります。

また保育室内の環境の作り方を知りたいという方も。子どもが主体的に遊べるようにするためにも、環境設定は重要なポイントですね。

▼ほいくisオンライン研修で公開中の「保育の活動」に関するセミナー動画はこちら

 子どもとの関わり方 

【学びたいテーマ】
  • 一日中抱っこをせがむ(気持ちが不安定な)子どもへの対応の仕方。
  • 机の上を走ったり、ほかの友達の給食を食べたり等だめと言われる行動ばかりをしてしまう子どもへの対処法
  • 噛みつきをする子への対応と保護者への伝え方
  • こだわりが強い子への対応法
  • 外国籍の子どもや保護者への対応
  • イヤイヤ期の子どもへの声かけなど、実際に成功した体験話を聞きたいです。
子どもは一人ひとり異なるため、それぞれの状況に合わせた対応が求められます。中でも対応が難しいと感じる子どもとの関わり方に頭を悩ませている保育者の方も少なくありません。多様な関わり方や子どもの捉え方を知ることで、より良い保育を行っていくことができますね。

▼ほいくisオンライン研修で公開中の「子どもとの関わり方」に関するセミナー動画はこちら

保育知識

【学びたいテーマ】
  • 子どもの主体性を育む保育の実践例や取り入れ方
  • 不適切保育はどこまでが不適切保育なのか知りたいです。また性教育は中々出来ないもの。きっかけとわかりやすい伝え方を知りたいです。
  • 子どもの人権について
  • 異年齢保育の進め方、大切なこと
  • 非認知能力について
  • 保育室の環境作りについて
子どもの主体性について学びたいという声が多かったです。「主体性」が大切だと言われているのは理解していても、実際にどうやって育めば良いのか、難しい問題ですよね。

具体的な保育方法や環境設定、保育者の関わり方について学ぶ機会が求められていると分かりました。

▼ほいくisオンライン研修で公開中の「保育知識」に関するセミナー動画はこちら

保護者支援

お迎えに来た保護者と子ども
【学びたいテーマ】
  • 保護者とのコミュニケーションについて
  • 貧困家庭やシングル、ステップファミリーなど難しいご家庭の保護者支援
  • 外国籍の日本語がわからない子どもや保護者の対応。
  • 神経質、心配性の保護者対応
社会の変化と共に、家庭の形態も保護者の考え方も多様化しています。子ども同様、保護者にも一人ひとりに合った対応が求められる中で、コミュニケーションが難しい保護者とどのように信頼関係を築いていったら良いのか悩んでいる方が多いと分かりました。

▼ほいくisオンライン研修で公開中の「保護者支援」に関するセミナー動画はこちら

業務内容

【学びたいテーマ】
  • 職員との円滑な連携の取り方について
  • 保育現場のストレスと自分との向き合い方
  • 不適切保育の予防。職員同士で予防しあうには。保育者の学びの機会をどう作るか。
  • ICTの詳細な現場活用の仕方
職員同士の連携や人間関係の築き方、ストレス発散法などについて学びたいと感じている方が多いと分かりました。仕事をする上で、保育者同士がチームとなって保育に取り組み、お互いに意見を言いやすい環境で働くことが重要な課題となっているようです。

昨今の保育現場のICT化を受け、パソコンの活用やInstagramの安全な運用などを知りたいという方も。保育者の学ぶ範囲も広がりつつあります。

▼ほいくisオンライン研修で公開中の「働く環境」に関するセミナー動画はこちら

乳児ケア 

笑っている赤ちゃん
【学びたいテーマ】
  • 乳児の接し方や病気やアレルギーなど
  • 乳児の保育環境の配慮、発達を促す遊びの環境設定を学びたいです。
  • 救命救急、0歳児の発達発育にそった食事、睡眠、遊びの支援
0歳児クラスの保育を行うにあたっては、乳児保育特有の専門知識や技術が必要になってきます。生後1年未満の赤ちゃんの命を守り、発達を保障するためには、乳児保育についてしっかりと学んでおきたいですね。

▼ほいくisオンライン研修で公開中の「乳児保育」に関するセミナー動画はこちら

安全対策・事故防止 

【学びたいテーマ】
  • ヒヤリハット、事故報告のあり方、活かし方
  • 環境整備、危険配慮、予想される子どもの姿
  • 安全対策、災害時の対策について
保育者は子どもの「生命の保持」について大きな責任を担っています。判断力や身体能力が未発達な乳幼児の命を守るために、保育者として何ができるのか知っておきたいですよね。

また近年増えてきている自然災害に対しても、どのような対策が取れるか事前に学んでおくことは子どもを守る立場として欠かせないテーマと言えます。

▼ほいくisオンライン研修で公開中の「安全対策・事故防止」に関するセミナー動画はこちら

食育

【学びたいテーマ】
  • アレルギーのある子どもへ配慮しながらも、全員が一緒に楽しめる食育活動について
  • 好き嫌いが多い子供が増えているので、偏食についての対応の仕方を学びたい
  • 乳児期の食育について
食育の基本的な考え方や食事の場面での困り感を解決するヒントになるような研修が求められていることが分かりました。

食育は保育所保育指針の中でも1つの章として取り上げられており、「保育」の一部として重要視されています。「身体の栄養」だけでなく、「心の栄養」にも繋がる食育活動を行っていきたいですね。

夏期講習会で保育の質を高めよう

各分野に精通したプロフェッショナルから学ぶことができる夏期講習会。保育の質を高める絶好のチャンスです。講習会によってテーマが異なるので、自分だったらどの先生の話が聞いてみたいかピックアップしてみてはいかがでしょうか。

夏期講習会の参加を検討している方は、参考にしてみてくださいね。
<アンケート調査について>
調査期間:2024年5月1日~5月31日/調査方法:ほいくisサイト内でアンケートを実施/調査対象:ほいくisメンバー(会員)/有効回答数:1問目「ご自身が該当するお立場を回答ください。(複数選択可)」1,025件、2問目「今年度、保育に関する夏期講習会・セミナーの参加予定はありますか?」1,025件、3問目「保育に関する講習会・セミナーで受けてみたい内容を教えてください(複数選択可)」1,025件、4問目「保育に関するセミナーや研修で学びたいテーマを教えてください(フリーアンサー)」335件

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佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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