こどもの日の由来
まずは、基礎知識として「こどもの日」の由来と風習から見ていきましょう。また、それらを踏まえた上で、子どもたちへの伝え方の例と、関連する活動でのねらいについても解説します。端午の節句から「こどもの日」へ
5月5日は、昔から季節の変わり目を表す五節句のひとつ、「端午の節句(菖蒲の節句)」として男の子の健やかな成長を祝う日とされていました。その後1948年(昭和23年)に、「こどもの人格を重んじこどもの幸福をはかるとともに母に感謝する日」として国民の祝日に定められ、現在の「こどもの日」になりました。このことから、現在は男の子だけでなく、子どもたちをお祝いする行事として定着しています。
出典:「国民の祝日」について/内閣府 >>詳細はこちら
「節句」とは
また「節句」は季節の節目となる日のことですが、もともとは中国から伝わったもの。古くから、厄払いや無病息災の祈願、健康や不老長寿の祈願などの行事を行う日として、今日まで伝えられてきています。端午の節句以外で代表的なものとしては、1月7日の「人日(じんじつ)の節句(七草の節句)、3月3日の「上巳(じょうし)の節句(桃の節句)」、7月7日の「七夕の節句(笹の節句)」などがあります。どれもお馴染みのものですよね。こどもの日の風習と過ごし方
続いて、こどもの日に行われる風習や慣習についてご紹介します。多くは端午の節句にちなんだ伝統的な習わしで、お馴染のものですよね。こいのぼりは“成長”と“出世”の象徴
こどもの日の象徴のとしてまず思いつくのが、「こいのぼり」ですよね。なぜこいのぼりを飾るのか? 込められた意味を見ていきましょう。鯉は池や沼地などでも生息できる、強い生命力を持っています。また、「激しい滝水に逆らいながら“竜門”という滝を登っていった鯉が、龍に変身し天に昇った」という中国の古い伝説があります。このことから、人生の中でぶつかる難関も突破し、成長して出世して欲しいという願いを込めて、こいのぼりを掲げるようになったと言われています。
こいのぼりは黒・赤・青、そして吹き流しが一緒になっていますよね。昔はこいのぼりは「黒い真鯉=子ども」だけだったそうですが、時代の変化と共に赤い緋鯉、青い子鯉が加わりました。それにより、黒い真鯉=お父さん、赤い緋鯉=お母さん、青い子鯉=子ども、となっていったとのこと。また、カラフルな“吹き流し”には、魔除けの意味が込められていると言われています。
五月人形を飾る理由
端午の節句には、兜や甲冑、弓、太刀などの武具や、それらを身に付けた人形を飾る風習があります。もともとは武家で、男の子の厄除けやお守りの意味を込めて武具を飾る習慣があり、それが端午の節句の風習とし定着したと言われています。菖蒲湯に入る理由
端午の節句は、別名「菖蒲の節句」とも言われます。これは古代中国で、端午の節句の際に邪気祓いのために菖蒲を使用していたことが由来と言われています。強い香りを持つ菖蒲は邪気を祓うと信じられていて、この風習が日本に伝わり定着しました。こどもの日の当日には、菖蒲をお風呂に入れた菖蒲湯につかることで厄除けや子どもの成長を願います。柏餅(かしわもち)やちまきを食べる理由
昔から、端午の節句には柏餅を食べる風習があります。始まったのは江戸時代からと言われていますが、なぜ柏餅なのでしょうか?柏の木は落葉樹ですが、冬になっても葉を付けたままで、新芽が出るまで古い葉が落ちないという特徴があります。このことから、絶えない家系や、子孫繁栄と結び付けられて、縁起の良い木とされています。そのため、男の子の成長を願うお祝いだった端午の節句に柏餅を食べる風習ができたという訳です。
一方、関西地方では、ちまきの方が一般的です。こちらは中国で生まれた、端午の節句にちまきを食べる風習が、日本に伝わったものとされています。当時の都があった関西を中心に広がったものが、今に受け継がれています。地域によって風習が違うのも面白いですね。
子どもたちへの伝え方・活動のねらい
園での活動にあたっては、きちんとねらいを持って計画を立てて進めたいですよね。その中で、こどもの日の由来や風習についてしっかりと伝えていきましょう。こどもの日の伝え方
こどもの日や、関連するものの由来について見ていきましたが、子どもに伝えるにはどれも少し難しいですよね。子どもに伝えるときは、ポイントを絞って分かりやすく言い換えてみましょう。【伝え方の一例】
- 子どもたちみんなが幸せになれるように願う日
- 生きる力の強いコイを飾ってみんなの成長を願う
- 兜や鎧を飾って、悪いことから守ってもらう
- 「しょうぶ」という植物をお風呂に入れて健康を願う
- 縁起のいい柏の葉っぱで巻いたおもちを食べる
こどもの日の活動のねらい
こどもの日は、子どもたちも楽しみにしている行事です。しかし、保育園や幼稚園、認定こども園の活動として取り入れるときはきちんと計画を立てて、ねらいを持って行わなければいけません。ねらいの例を挙げてみました。<ねらいの例>
- こどもの日(端午の節句)の由来を知り、日本の伝統的な文化に触れて親しむ。
- こいのぼりの製作や行事食、唱歌で古くからある風習に親しみ、お友だちや保育者との交流を深める。
- 暦の区切りに行う行事ということを伝え、季節の移り変わりについて関心を持つ。
活動アイデア|ペープサート・ぬり絵・まちがいさがし
ここからは、園で「こどもの日」を楽しむための活動アイデアをご紹介していきます。まずは、ペープサートやぬり絵、まちがいさがしなど、ほいくisで無料ダウンロードができるキットをご紹介します。「こどもの日」シルエットクイズ・ペープサート
「こどもの日シルエットクイズ」と、由来が説明できるペープサート用イラスト。活動の導入にぴったりです。スケッチブックシアターにも使えますよ。 <キット内容>シルエットクイズ&由来説明用4種類
- こいのぼり(シルエットクイズ用)
- 滝とコイと竜(由来の説明用)
- かしわもちとちまき(シルエットクイズ用)
- かぶと(シルエットクイズ用)
「こどもの日」ぬり絵
人気イラストレーターのセキザワ アイさんによる、プリントするだけで使える、「こどもの日」テーマのぬり絵です。子どもたちと思い思いに楽しんでくださいね。「こどもの日」まちがい探し
右の絵と左の絵を見て違いを見つける「間違い探し」をオリジナルで作成。A4サイズで印刷して、この時期の室内遊びに利用できます。>>「こどもの日」無料ダウンロード素材・キット一覧はこちら
活動アイデア|こどもの日の製作
ここからは、園で「こどもの日」を楽しむための活動アイデアをご紹介していきます。まずは製作アイデアから。こいのぼり製作7選
①リース風つるし飾り 紙皿リース風にアレンジしたこいのぼり。製作活動にちょうど良いアイデアですね。 ②壁面・部屋飾り向けつるし飾り こちらは、簡単で取り組みやすいアイデア。するするとたこ糸でこいのぼりを掲揚する動きが楽しめます。 ③ピョンピョンはねる!こいのぼり ピョンピョンはねる動きがかわいいこいのぼり。子どもたちも夢中になって遊べる製作アイデアです。 ④低年齢児におすすめ!ペタペタお絵描きこいのぼり 0歳児からでも楽しめる、絵の具を使ったこいのぼりの製作です。低年齢児の製作アイデアで悩んでいるクラス担任の先生におすすめです。 ⑤透明こいのぼりバッグ 透明なポケットがおしゃれな、手作りバッグ(手作りかばん)の製作アイデアです。お散歩バッグとして、木の実や葉っぱを入れるのにもぴったりです。 ⑥フラワーペーパーのこいのぼりお花紙をビニール袋に詰めて成型するだけ。こちらも低年齢児から取り組める、簡単な製作アイデアです。 ⑦簡単!こいのぼりの折り紙
こちらは、折り紙で簡単に作れるこいのぼり。遊び時間のネタや、壁面にも利用できますね。
兜の製作アイデア3選
①かぶれる!どうぶつかぶと 動物をモチーフにした手作り兜の製作アイデア。耳の形を変えると、ネコやウサギ、トラといった好きな動物に簡単にアレンジできます。 ②カラフル兜のポチ袋マラカスかぶとをあしらったミニマラカス。ポチ袋から上手く形を成形して作りましょう。 ③定番!折り紙の兜
基本的な折り紙の一つである兜(かぶと)の折り方をご紹介します。折り方さえ覚えてしまえば、新聞紙や包装紙など大判の紙で被れる兜を折ることもできますので、ぜひお試しを。
かしわ餅・金太郎・その他の製作アイデア4選
①金太郎がユラユラ揺れる手作りおもちゃ モールで作ったバネの仕掛けで、ゆらゆらと揺れる金太郎の製作アイデア。縁起の良い柏餅も一緒に、こどもの日の製作におすすめです。 ②かしわ餅ちゃんのおままごとセットかしわ餅に、こいのぼりの飾りをあしらった「おままごとセット」です。ままごと遊びを通じて、伝統行事について知ってほしいですね。 ③かしわ餅カスタネット
形が似ていることから、なんと!かしわ餅をカスタネットにしてみました。手作り楽器や手作りおもちゃとしても楽しめます。 ④マジックシアターこどもの日バージョン
簡単に作れて子どもたちにも人気のマジックシアター。今回は、こどもの日に合わせた可愛いイラストを使ったバージョンです。
折り紙・製作をまとめてチェック!
ちょっとした活動にぴったりの簡単アイデアから、本格的な製作までチェックしたい方はこちら!活動アイデア|こどもの日の歌
こどもの日の活動の導入に使える歌をご紹介しましょう。無料でダウンロードできるピアノ楽譜と弾き歌いが練習できる動画のセットもありますので、ぜひご活用ください。こいのぼり/無料のピアノ楽譜付き
「こどもの日」と聞いて、まず思い浮かぶ定番の曲ですよね。こいのぼりの製作の導入時などで、子どもたちと一緒に歌ってみましょう。こちらは園でのピアノ弾き歌いが練習できる手元動画と、楽譜が無料でダウンロードできるセットとなっています。音楽遊びのアレンジもご紹介していますので、こちらのコラムもチェックしてみてくださいね。 【歌詞】
やねよりたかい こいのぼり
おおきいまごいは おとうさん
ちいさいひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる
作詞:近藤宮子
作曲:不詳
せいくらべ(背くらべ)
こちらも「こどもの日」の定番ソング。ちまきを食べながら、柱の目印で弟の背の高さを測るお兄ちゃん。光景が目に浮かんでくるようで、微笑ましいですよね。【歌詞】
はしらのきずは おととしの
ごがついつかの せいくらべ
ちまきたべたべ にいさんが
はかってくれた せいのたけ
きのうくらべりゃ なんのこと
やっとはおりの ひものたけ
はしらにもたれりゃ すぐみえる
とおいおやまも せいくらべ
くものうえまで かおだして
てんでにせのび していても
ゆきのぼうしを ぬいでさえ
いちはやっぱり ふじのやま
作詞:海野厚
作曲:中山晋平
活動アイデア|導入におすすめの絵本
「こどもの日」を子どもたちにどう伝えようか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そんなときは、絵本で伝えてみましょう。こいのぼりぐんぐんこどもの日!
作:ますだゆうこ絵:たちもとみちこ
出版社:文溪堂
対象年齢:幼児
[こいのぼりぐんぐんこどもの日!(日本語)大型本]
体が弱いたつやがこいのぼりを眺めていると、なんとこいのぼりが話しかけてきて…⁉ 背中に乗って、冒険の始まりです。
大人気パフォーマーであるケロポンズさんの「ケロちゃん」こと増田裕子さん作の絵本です。こいのぼりにまつわるお話しを、分かりやすいストーリーで伝えてくれる一冊。
こいのぼりの他にも、こどもの日に関係する柏餅やよもぎ、しょうぶなどについての説明が載っています。加えて製作アイデアまで見られるので、子どもたちと一緒に楽しむことができますね。
ちゅーたんのとべとべこいのぼり
作:きむらゆういち絵:ながはまひろし
出版社:教育画劇
対象年齢:3歳~
[ちゅーたんのとべとべこいのぼり!(12か月のしかけえほん)(日本語)単行本]
大きなこいのぼりをあげていたちゅーたん。しかし、繋いでいた糸が切れてちゅーたんはこいのぼりと一緒に空に…⁉
低年齢児から楽しめる行事絵本で人気の、きむらゆういちさんの作品です。しかけ絵本になっているので、ワクワクしながら読み進めることができます。分かりやすいはっきりとしたイラストは、子どもたちにも親しみやすいですね。
ちいさなこいのぼりのぼうけん
作:岩崎京子絵:長野ヒデ子
出版社:教育画劇
対象年齢:3歳~
[ちいさなこいのぼりのぼうけん (行事のえほん) (日本語) 単行本]
幼稚園でみんなで作った折り紙のこいのぼり。そのこいのぼりたちが、幼稚園を抜け出して…。
幼稚園が舞台になっているので、馴染みやすいお話になっています。自分たちのこいのぼりが冒険に出る…というユニークなストーリーは、子どもたちの心をしっかり掴んでくれるでしょう。折り紙でのこいのぼりの作り方が描かれているので、製作の参考にもなりそうです。
伝統行事を楽しもう
こどもの日は、子どもの成長を祝う行事です。子どもたち自身にも、健やかに育つことへの感謝や素晴らしさを伝えられるよう、さまざまなアイデアで楽しんでみてくださいね。【関連記事】