型はめパズル遊びの機能
型はめパズルというのは、板にいろいろな形がくり抜いてあったり、凹みが作ってあったりして、そこにぴったり形や色が合うピースを合わせるおもちゃです。立体型と平面型があります。 型はめパズルを使った遊びには、主に次の5つの機能があります。①平衡感覚や触覚、見る力や見分ける力が育つ
型はめパズルをするには、まずグラグラしないで安定して座れること、そして型はめパズルに対してまっすぐ座ることができなくてはなりません。そのためには平衡感覚が必要です。そして、穴や凹みの形に合った正しいピースを入れるには、穴や凹みやピースの形を見分ける目の力と、手と目とを協応させる力が必要です。
また、「ぽとん」と落ちた感覚、「カチッ」とはまったという感覚は、触覚と固有覚(骨と筋肉の位置と傾きを感じる感覚)という感覚によって得られます。
型はめパズルで遊ぶ中で、これらの「グラグラしないで安定して座る力」「平衡感覚」「形を見分ける視覚機能」「手と目を協応させる力」「触覚」「固有覚」が次第に育まれていきます。
発達障害のある子の中には、これらの力が弱い子どもが多くいます。型はめパズルが「楽しい」、だから「もっとやりたい」と取り組む中でこれらの力を自然に育てていきたいものです。
②手先の器用さが育つ、目と手の協応の力が育つ
型はめパズルで穴や凹みにピースを入れるには、立体型だと「ピースをつかむ」「ピースを持ちながら合う穴を見つけて箱の中に落とす」などの操作、平面型だと「ピースの突起を親指と人差し指でつまむ」という操作が必要です。いずれの操作も、目と手の協応が必須であり、型はめパズルでこれらの操作を数多く行うことで「つかむ」「持ち続ける」「つまむ」など、子どもの発達にとても大切な動作ができるようになっていきます。
③物の形や大きさを見分ける力が育つ
型はめパズルで遊び始めたばかりの子どもは、穴や凹みと同じ形のピースを見付けて入れるのではなく、手あたり次第にピースを入れようとしたり、はめようとしたりします。そして多くの試行錯誤を経て、「同じ大きさ」「同じ形」のピースだと、立体型の場合は穴を通って「ぽとん」と箱に落ちること、また平面型の場合は凹みとピースが「カチッ」と入り動かない状態になることに気がつきます。
このような経験は、子どもに、「同じ形」「同じ大きさ」や「違う形」「違う大きさ」という認知力を育てます。
④試行錯誤の力、集中力を育む
子どもも最初は、ピースを手当たり次第に穴や凹みに入れようとします。そこで一回、「入れられた」「はめられた」という経験をすると、子どもは、「入った」「はまった」という結果を得ようと一生懸命になります。どうしたら入るのだろうと考え、手に取ったピースをあちこちの穴や凹みに入れようとする、はめようとする行為は、試行錯誤するという経験になります。また、夢中で熱中する時間を経験する中で集中力が養われます。
⑤コミュニケーションの力を育む
型はめパズルでは、周囲の大人の働きかけ次第でコミュニケーションの力を育むことができます。自分でピースを選んで目に入った穴や凹みにはめていく、そしていつかはまって「ぽとん」「カチッ」という「入った」「はまった」感覚が得られる。もちろんこの活動にも上記①~④の意義はあるのですが、それは自分の好きにピースを選んで自由にやっているのであって、そこに他人とのコミュニケーションはありません。
そこで、子どもに「この穴に合うピースをちょうだい」と言ってみます。
それに応じるには、子どもは自分の「こうしたい」を抑えて「相手の要求に応じる」ことをしなくてはなりません。こうして、いわゆる「周囲との折り合いをつける」力を、大人とのやり取りを含んだ型はめパズルの遊びを通して、育むことができます。
型はめパズル遊びでの関わり方のポイント
続いて、型はめパズル遊びでの保育者の関わり方について一つずつ見ていきましょう。
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