エピソード記録の目的や書き方はわかっていても、何を書くかに悩みますよね。例えばおもちゃの取り合いなど書きやすそうな場面があれば良いのですが、特に大きなトラブルのない穏やかな日であればあるほど、何を書くか悩む方も多いようです。
今日はどの場面を切り取れば良いのか、エピソード記録に苦労した経験が仕事としてどう役立つのかをお伝えしますね。
視点で切り取る
書き方のポイントとして、場面ではなく視点で切り取ることをおすすめします。何をしていたか・どんな事があったかという場面から切り取ろうとすると、出来ないことや揉めたこと、あなた自身が困ったことに着目する傾向がありませんか?
それらマイナス点に日々着目することは、あなたの子どもを捉える目、思考、保育全体に影響が出てきます。大きなトラブルのない穏やかな日こそ、視点をもった関わりが生きてきますよ。
どのような視点で切り取るか
あなたの思いつきや閃きによる視点はどうしても偏りが出て、子どもの育ちを正確に捉えられない可能性があります。ぜひ下記を参考にしてくださいね。①時間(場面)から視点を想定しておく
例えば、登園時は挨拶や身支度など基本的生活習慣が把握しやすい時です。”自立心”や”生活を見通す力”などの視点でよく観察し、それらを踏まえた上で保育者としての関わりを意識しましょう。また自由遊びや昼食時には、友だちとの何気ない会話が聞こえてくるでしょう。”言葉での伝え合い”や”思考力の芽生え”などの視点で耳を傾けながら会話に参加しましょう。「友だちと楽しそうに話している」だけではない一面が見えてくるはずです。
特に保育経験が浅いうちは「この場面ではこんな視点をもとう」とあらかじめ想定しておくことで、偏りのない捉え方をする自己トレーニングにもなります。
②「10の姿」をキーワードにする
上記の”自立心”などは保育所保育指針「10の姿」の言葉です。1日1つずつ意識すると10日間で全ての視点を考えることが出来ます。1つ1つを確実に意識してみると、あなたが得意とする視点や捉えにくいと感じる視点など、自分の傾向に気付くことができますよ。子どもたちの今の姿を様々な視点で捉えらる力を養いましょう。
③園の教育理念や方針と照らし合わせる
実習中の園では、大切にしている理念や目指すこども像などが掲げられていますよね。明示の仕方は園によって異なりますが、保育の大きな方向性が示されています。その方針は保育現場でどのような場面で反映され、子どもたちの中にどう生きているか。そんな視点で振り返るのも良いですね。
また園として、どのような視点でエピソード記録をとっていくのか。必要があれば話し合うのも素晴らしい取り組みだと思います。
④「からだの育ち」「友だちとの関わりとこころの育ち」「基本的生活習慣」
連絡帳に書くポイントとして以前お伝えした事柄です。日々の成長を捉える視点として参考にしてみてください。エピソード記録の記入例
上記の①~④を実際のエピソード記録に当てはめた例を見てみましょう。2歳3ヶ月・女児
背景:登園時に涙する日も多い。保育者との信頼関係を丁寧に築いている
場面:朝の室内あそび(①)
パンダのぬいぐるみを抱いてあやしたり、ままごとの包丁を持たせて使い方を教えたりしている。他のことで遊び始めても、暫くすると「パンダちゃんは?」と探して赤ちゃんをあやす様に抱いている。人形にも命があるものとして大切に扱う、この年齢らしい姿だ。
私も「パンダちゃんも〇〇する?」と人格ある友だちのように扱うことを心掛けた。いつも以上にAちゃんとの遊びの世界を共有できた一体感や協同性の芽生え(②)の手応えを感じた。少しずつ対象がパンダから友だちへと繋がるように思いやりや愛情表現など(④)を意識して育んでいきたい。
仕事としてどんな場面で役に立つのか
エピソード記録で鍛えられたあなたの視点や経験は、実はこんな場面で実際に生かすことができます。・連絡帳の充実
プロとしての伝え方ができることは保護者との関係性にとても良い影響があります。
・個人面談
偏りのない視点で話し合えることで限られた時間で中身の濃いの面談を行うことができます。
・指導要録
少ないスペースに要点を押さえながら記入できるようになります。
保育実習から始めるさまざまな経験は、保育者としての力に確実に繋がっています。未来を信じて、明日のエピソード記録もがんばりましょう!
<あさこ先生のベトナムだより>
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