ログイン

みんなで作るカノア保育園<その8>ゴミ問題を学ぶ

ブラジルの漁師たち
2000年、ブラジル北東部にある人口300人の小さな漁村“カノア・ケブラーダ”に保育園を作った鈴木真由美さんのストーリー8回目。子どもたちも保育園の生活に慣れ、環境を整えていく余裕が出てきました。次に着手した課題は「ゴミ」。保護者も巻き込んだ展開になったようです。

子どもとはすごいもので、一度慣れてしまうと、今までも同じように過ごしていたのかと思うくらいすぐに新しい環境に馴染んでしまいます。「子どもたちが部屋に入る」「子どもたちが椅子に座って食事ができるようになる」という2つの目標にはとても苦労しました。しかし今、目の前にいる子どもたちは、登園し、笑顔で部屋の中に入り、朝の時間、自由にそれぞれ遊びながら過ごしています。あたかも、今までもそのようにしてきたように。ある日、その姿を見ていたエヴァさんと私は、笑いながら涙を流していました。それほど、この光景に対して深い想いがあったということかもしれません。

こうして無事に第一関門をクリア(!?)した私たち。保育園という生活のスペースを整えていく余裕が出てきたのでした。

ある日、お部屋に子ども用のゴミ箱を置くことにしました。子どもたちは「これ何?」と聞いてきます。カノア保育園のあるエステーヴァン村は、長らく物々交換で生活してきたこともあり、今までゴミは「燃やす」か「庭に埋める」という処理をしていました。しかし、スーパーで買い物をするようになり、全てのゴミを自然に還すことができなくなってしまっていたのです。子どもたちはゴミ箱というものに興味を持ち、

「これ、ゴミ?捨ててもいい?」

と、嬉しそうに聞いてくるようになりました。





ゴミ箱をお部屋に置いてから2日が経った頃、保護者がものすごい形相で保育園へとやってきました。

「私は息子を掃除夫にするためにあなたたちの保育園に通わせているわけではないのよ!!」

訊くと、どうやら男の子は家に帰り、段ボール箱に家中のゴミを入れて歩いていたのだそうです。私たちが、ゴミ箱を保育園に置いたこと。なぜゴミ箱をお部屋に置いたのかを説明しても納得してはくれませんでした。そこで私は、園庭に保護者を呼び、2つの穴を掘りました。そして、こう言ったのです。

「この穴の中に果物の皮(生ゴミ)とレジ袋を別々に埋めるよ。1週間たったら、このゴミがどうなったのか、一緒に見てみましょう」

そして、1週間後。この保護者と一緒に穴の中に埋めたゴミを掘り返してみたのです。すると、果物の皮(生ゴミ)は黒ずんできて、土に還っている様子を見ることができました。しかしレジ袋の方は、少しボロボロにはなってきたものの、そのまま残っていました。そして私は、全てのゴミが土に還るわけではないこと。燃やすと有毒ガスが出てしまうものもあることを伝えました。

そして次の日。この保護者は段ボール箱を持って保育園にやってきました。

「この箱をゴミ箱に使って」

そういって、家に帰っていったのでした。
鈴木真由美

この記事を書いた人

鈴木真由美

保育士。ブラジル・カノア保育園 園長。2000年にブラジル北東部にある漁村カノアに渡り保育園の運営を始める。2006年にカノアでの支援を目的にした「光の子どもたちの会」を設立(2015年にNPO法人となる)。現地の地域力向上を目指して活動中。2児の母。
<光の子どもたちの会HP>
http://criancasdeluz.org/quem_somos_nos/quem_somos_jp.html

関連タグ

シリーズ関連記事

おすすめ記事