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みんなで作るカノア保育園<その9>給食を提供してくれたのは?

ブラジル・カノア保育園の子どもたち
2000年、ブラジル北東部にある人口300人の小さな漁村“カノア・ケブラーダ”に保育園を作った鈴木真由美さんのストーリー9回目。子どもたちに栄養価の高い食事を出してあげたいと考えていたところ、声をかけてくれたのは地元出身のレストランオーナーでした。

保育園を設立したとき、保育園で食べる食事が1日の中で唯一の食事だという子どもがほとんどでした。そのため、なるべく栄養価の高い、バランスのとれた食事を出したいと私たちは考えていました。しかし、保育園を設立したばかりで、毎月食費として出せる費用に余裕はありませんでした。そんな時、観光地のカノアにあるレストランのオーナーが私たちに声をかけてくれました。

「子どもたちを預かる施設をやっているそうだね。何歳の子どもを預かっているんだい?」

「3~5歳の子どもを預かっています」

「そうか。実は私にも新しい妻との間にできた子どもがいてね。上の子がちょうど3歳になったところなんだけど、預かってもらうことはできるかな?」

「はい。もちろんです」

「エステーヴァン村に住んでいないのに、大丈夫かい?」





「はい。基本的には村の子どもたちを預かることになっているのですが、今は定員いっぱいではないので、お預かりできますよ」

「それはありがたい。我が家は家族でレストランを経営しているので、小さな子どもをどうしようかと考えていたところなんだ」

「そうですよね。これからはこういった施設がもっと必要になってくると思いますよ」

「ところで、あなたたちのところは無償だそうだね。私はレストランをしているので、もしよければ給食を提供させてもらえないかな?」

「ほんとうですか! 実は保育園でしか食事のできない子どもたちが多いので、どうすれば栄養のある、バランスのとれた食事にできるかと頭を悩ましていたところなんです!」

「それはよかった。では、これからは私たちが給食を提供するよ」

こうしてレストランから毎日、給食が届くようになったのです。

カノア・ケブラーダ地区が観光地として発展していく中、ホテルやレストランのオーナーはほとんどイタリア、オランダなどのヨーロッパの人たちでした。そんな中で声をかけてくれたレストランのオーナーは、この地域で生まれ育ち、その後リオ・デ・ジャネイロで料理の修業を行った人だったのです。彼は再婚した相手と自分の生まれ故郷に戻り、レストランを開いたのでした。

こうして、エステーヴァン村の住民や子どもたちの保護者だけでなく、観光地カノアの人たちにも保育園の存在を知ってもらえるようになりました。

「保育園を一緒に支えていきたい」

そう思って活動に参加してくれる人たちの輪が少しずつ広がってきていることを、私たちは感じ始めていました。

>>みんなで作るカノア保育園<その8>ゴミ問題を学ぶ
ブラジル・カノア保育園の子どもたち
鈴木真由美

この記事を書いた人

鈴木真由美

保育士。ブラジル・カノア保育園 園長。2000年にブラジル北東部にある漁村カノアに渡り保育園の運営を始める。2006年にカノアでの支援を目的にした「光の子どもたちの会」を設立(2015年にNPO法人となる)。現地の地域力向上を目指して活動中。2児の母。
<光の子どもたちの会HP>
http://criancasdeluz.org/quem_somos_nos/quem_somos_jp.html

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