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カリアーニは、大好きなお姉さんが作ってくれる洋服が自慢!【カノア保育園の子どもたち】

カノア保育園の子どもカリアーニ
ブラジル・カノア保育園の設立ストーリーと並行してお届けするシリーズ「カノア保育園初めての子どもたち」。今回は、物が十分になくても、手作りの洋服をきっかけに友達と繋がる女の子、カリアーニを紹介します。
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いつも笑顔の女の子

カノア保育園ができ、初めて通ってきた子どもの中にカリアーニという女の子がいました。

とてもかわいらしい顔をした彼女は、いつも笑顔。双子のお姉さんたちに連れられて、毎日保育園にやってきます。

彼女の父親は漁師でしたが、彼女が生まれてすぐのころ、漁に出ていき、そのまま亡くなってしまいました。彼女は末っ子ということもあり、彼女の成人したお兄さんたちはいつも父親代わりとして、見守ってくれていました。

母親はとても気の強い人で、いつも怒っているような人でした。家事はすべて子どもたちが行い、兄たちも仕事をしながら家計を支えていました。お兄さんの中には出稼ぎに出ている人も3人おり、その内の一人とは、彼女は一度もあったことがありませんでした。




大好きなお姉さんが作った人形

お母さんは同居していたものの、彼女が心を開き、いつも一緒にいたのは、母親といってもよいほど年の離れた姉でした。お姉さんは自分の家庭を持っていましたが、カリアーニが保育園から戻ると彼女の帰る家は自宅ではなく、このお姉さんの家だったのです。

カリアーニは人形で遊ぶことが大好きな子どもでした。その人形は、お姉さんが作ってくれた布製のお人形です。お人形の洋服も、姉が作ってくれるのだと話してくれました。
カリアーニのお姉さんが作った人形
ちょうど子どもを妊娠していたお姉さんは、自分の子どものため、そしてカリアーニのために、得意の裁縫を生かして、人形の衣装をたくさん作っていました。

その洋服の中にお気に入りを見つけると、
「これ、私にも作って!!」
とおねだりし、カリアーニ自身の洋服を作ってもらっていたのです。

お気に入りの洋服

洋服を満足に買うことのできない彼女の家でしたが、姉がいつも、洋服を作ってくれていました。

世界でただ一つの自分だけの洋服。それがとても嬉しくて、彼女は保育園に着くとまず始めに「みてみて!!かわいいでしょ?」と洋服を見せるのでした。

そして、自分の洋服を気に入ってくれたり褒めてくれたりしたお友達がいると、お姉さんの家に連れていきました。そして、こう言うのです。

「ねえ、この子もこの洋服、好きなんだって!」

布を買うこともままならない。そんなときでも、シーツや、テーブルクロスなど、上手く使っては、洋服を作ってくれていたカリアーニのお姉さん。

いつの日か、その手作りの洋服が評判となって村中に広がり、人形作りをしていたNGO団体から声がかかるまでになりました。

カノア保育園に通ってきていた子どもたちの多くは、洋服をあまり持っていませんでした。それを知った私たちの知人は、私立の学校の制服(シャツと短パン)をくれました。カノア保育園の制服として使えるように。

その制服を子どもたちに渡した日、カリアーニはこう言いました。
「これ、着たくないなぁ~。だって、私の洋服の方が、かわいいでしょ?」


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鈴木 真由美(すずき まゆみ)

この記事を書いた人

鈴木 真由美(すずき まゆみ)

保育士。ブラジル・カノア保育園 園長。2000年にブラジル北東部にある漁村カノアに渡り保育園の運営を始める。2006年にカノアでの支援を目的にした「光の子どもたちの会」を設立(2015年にNPO法人となる)。現地の地域力向上を目指して活動中。2児の母。

<光の子どもたちの会HP>
http://criancasdeluz.org/quem_somos_nos/quem_somos_jp.html

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