保育実習の目的とは
目標を立てる前に、まずは保育実習を行う目的を理解しておきましょう。ここを理解しておくことが、目標設定をするときの基礎となります。一般社団法人全国保育士養成協議会による「指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について[改正後全文]」では、保育実習の目的を以下のように定めています。
『保育実習は、その習得した教科全体の知識、技能を基準とし、これらを総合的に実践する応用能力を養うため、児童に対する理解を通じて保育の理論と実践の関係について習熟させることを目的とする。』
実習は、座学で学んだことを現場で活かすための力を養う場となっています。とは言っても、もちろん一回の実習でこの目的を達成することはできません。毎回の実習の積み重ねを通して、少しずつこの目的を達成できるように目標設定をしていきましょう。
参考:指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について[改正後全文]
目標の書き方のポイント
実習生の皆さんが目標設定をする際は、具体的な目標が立てやすくなるように押さえておくべきポイントがいくつかあります。いきなり目標を立てようとするのではなく、まずはポイントから確認してみましょう。新しく学びたいことを目標にする
自分が実習でどんなことを学びたいのかを考えて、それを目標にしてみましょう。「先輩保育士さんの動きを見て1日の流れを学びたい」「担当クラスの子どもの発達を学びたい」「どのような遊びをしているのか学びたい」など、どんなことでもOKです。学びたいことがはっきりしていると、実習中にどこを観察すれば良いのか明確になりますよ。学んだことを活かす目標にする
先程も述べたように、実習は今まで学校で学んできたことを、保育園や幼稚園などの現場で実践していく機会です。今まで学校で学んで身に着けた知識や技術を活かせるような目標を立ててみましょう。声かけや環境設定など、いきなり高い目標にする必要はありません。まずは、「覚えた手遊びや歌で子どもたちと楽しむ」「新聞紙や風船を使った遊びでスキンシップをとる」など、自分ができることからチャレンジしましょう。
振り返り・見直しをする
目標は、一度決定したら最後までそのままである必要はありません。日々の実習の振り返りを行う中で、達成できたものがあれば更に上を目指す内容に更新していくことも大切です。目標を見直すことで、反省点や改善点も見えやすくなるので、ぜひこまめに振り返りを行ってくださいね。【例文】保育実習 シーン別の具体的な目標例文
保育実習の目標はシーン別に書きましょう。子どもや先生が何をおこなっているタイミングの目標なのかシーンを絞って書くと、より具体的な目標が立てやすくなります。目標が具体的に書けると、指導してくれる先生に意図が伝わりやすく、自身も行動を起こしやすいので、保育の仕事の細かな点を踏まえて目標を立てるように意識してみましょう。
ここでは、実習前、実習前半、実習中盤、実習後半・最終日と、実習期間別にご紹介します。
実習前の目標例
初めての保育実習や、まだ実践的なことに慣れないうちは、保育士としての基礎を学ぶことを目標にしてみましょう。先輩保育士さんの動きを観察して仕事内容を知ったり、子どもたちの年齢や月齢ごとの発達状況を学んだりする機会になると良いですね。- 保育士の動きをよく観察し、1日の流れを把握する
一方、保育士の仕事は大半がシフト制での勤務です。出勤時間や退勤時間が保育士によって異なります。保育士として働くことを考えたとき勤務のなかで保育士が何を意識して保育の1日の流れを作っているのか把握してみましょう。
- 子どもたちの生活習慣の状況を理解し、個々に合わせた援助方法を学ぶ
子どもたちにはそれぞれ生活習慣の状況が異なります。例えば、おむつが取れて自立してトイレに行ける3歳と、トイレに行く練習をしている3歳がいる場合などが挙げられます。
保育士は家庭環境や発達段階などのさまざまな条件を受け入れたうえで、その子どもに適していると思われる援助をしています。
- 保育士がどのように子どもたちに関わっているのかを観察し、声かけや言葉の選び方を学ぶ
- 登降園時の保護者対応を観察し、関わり方や話す内容を知る
- 0歳児クラスの子どもたちの発達状況や、遊びの様子を知る
- ミルクの作り方や、食事介助の仕方を学ぶ
- 月齢による発達の違いを理解する
特に0歳から2歳までは、子ども一人ひとりの個性や違い、発達の段階を踏まえながら子どもと関わる必要があります。配属クラスは実習園にもよるので、1つの参考にしてください。
実習前半の目標例
- ケガや事故がないように、視野を広くして子どもたちを見守る
- 保育士の声かけを真似しながら、子どもたちと積極的に関わる
子どもと接する際に、どこで誰が何をしているか把握するように意識しましょう。また、集団を見ている先輩保育士の声かけを真似すると、プロとしての言葉選びが意識できます。
- 毎日笑顔で先生と子どもに接する
- 子どもの体調を観察し、健康観察を習慣づける
また、体調不良で園をお休みした子どもが復帰した際の体調管理にも気を配る必要があります。毎日欠かさず子どもの体調を観察するようにしましょう。
実習中盤の目標例
基本的な知識が身に着いている人は、より実践的な目標を立てて子どもたちと関わることを目指しましょう。声かけや環境設定、援助の仕方など、保育士としてのスキル面を磨いていけると良いですね。- 学んできた手遊びや歌遊びを実践し、子どもたちとスキンシップをはかる
- 子どもの行動や発言の意味を考え、気持ちに寄り添った援助を行う
- 子どもたち一人ひとりの個性を把握する
- クラス全体の流れをつかみ、保育に参加する
また、クラスの流れがつかめてきたら、先回りして取り組めそうなことを意識するとよりよい実習になります。
実習後半・最終日の目標例
- 子どもたちの興味や関心に合わせた環境設定の仕方を学ぶ
- 自分の得意な製作や折り紙を活動に取り入れて実践する
- 直接子どもに関わる保育以外の環境整備や清掃を積極的におこなう
- 園全体の動きや流れを理解する
保育士は子どもと関わるだけの仕事ではありません。子どもの健康を守るために、安全に配慮した衛生的な環境を整える必要があります。環境整備や清掃の仕事に積極的に取り組むことで保育士の業務の全体像がつかみやすくなるでしょう。
目標を持って実習に
目標設定をして実習に臨むことで、自分の目指すべき姿や学びたいことが明確になり、より充実した実習をすることができます。ぜひ目標設定を行って、実習に臨んでくださいね。【関連記事】