3月13日から屋内・屋外問わず個人の判断に
政府は2023年2月10日に、新型コロナウイルス対策としてのマスク着用に関する考え方の見直しを発表しました。それまで「屋外は原則不要・屋内は原則としてマスク着用」だったのが、3月13日(月)より、屋内・屋外を問わず、「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる(※)」ということになりました。事実上のマスク着用義務の緩和となるため、さまざまな施設での対応や感染状況にどのような影響が出るのかなど、注目が集まっています。保育園や幼稚園、認定こども園などの保育施設では、さまざまな人の出入りがある施設として新型コロナ感染対策をしていく一方で、子どもたちの育ちへの影響の観点もあり、難しい対応を迫られてきました。そんな状況の中で迎えるマスク着用義務の緩和。園ではいったいどのような対応をしていくのでしょうか。
今回ほいくisでは、公式Instagramでの緊急アンケートを実施。3月13日にマスク着用のルールが緩和されて以降の、園での対応について調査しました。ここではその結果をお伝えしていきます。
※出典:「令和5年3月13日以降のマスク着用の考え方について(2023年2月)」/厚生労働省
3割の園が先生のマスク着用を「個人の判断に委ねる」
最初に、先生のマスク着用に関してお勤めの園での対応方針についてお聞きしました。
園全体で引き続きマスクの着用を行う | 671件(46.9%) |
個人の判断に委ねられる | 454件(31.7%) |
園全体でマスクを着用しない方針となる | 92件(6.4%) |
その他 | 213件(14.9%) |
結果は、「園全体で引き続きマスクの着用を行う」と答えた方が46.9%で最も多く、続いて「個人の判断に委ねられる」が31.7%、「園全体でマスクを着用しない方針となる」が6.4%、「その他」が14.9%という結果となりました。引き続きマスクの着用を行うところが半数近くを占める一方で、政府の方針通り「個人の判断に委ねられる」という園も約3割と、一定の変化が見られそうな状況が読み取れます。
全体の14.9%と、少なくない割合を占めた「その他」に関連して寄せられたコメントを見ると、「まだ決まっていない」という内容が20件以上もありました。緩和実施が1ヵ月前に発表されたばかりということもあり、運営側が判断しかねている状況がうかがえる結果となりました。一部のコメントを抜粋してご紹介します(原文ママ)。
- まだ、上からの判断が来ていないので分からない状態です
- 3月時点ではまだですが、来年度から場面によって委ねる方針に変わります
- 自分のクラス内&外では外していいが、他クラスとの交流や保護者対応はマスク着用
- 医療法人の保育園のため、職員は今後もマスク着用です
個人の判断に委ねられる場合でも9割の先生が「着用する」と回答
続いて、前出の質問で「個人の判断に委ねられる」と回答した方に、マスクを着用するかどうかの意向についてお聞きしました。
着用する | 1,039件(88.1%)※ |
着用しない | 141件(11.9%)※ |
結果は、「着用する」と答えた方が88.1%、「着用しない」と答えた方が11.9%となりました。約9割が引き続きマスクを着用する意向で、園ではもうしばらく先生のマスク着用が続く状況となりそうです。
「着用する」を選んだ方から寄せられた理由を一部抜粋してご紹介します(原文ママ)。
- 花粉症なので、花粉の時期が終わるまでは着けるつもりです
- マスクなしが照れ臭くなってる 夏で暑くなったら外す予定
- もらわない、うつさないためにも、大人がマスクを着用 大人が我慢して、子どもにはお互いの表示用がみえる環境にしてあげたい
- マスクに慣れ過ぎて、ないと不安。していない人=菌と思ってしまうくらい敏感になってる。
※個別に回答できる設問のためQ1の該当する選択肢の総数(454件)を上回る回答数となっています
2歳児以上のマスク着用が「各家庭の判断に委ねられる」園が5割以上
続いて、2歳児以上の子どものマスク着用に関する園の対応方針についてお聞きしました。
園全体で引き続きマスクの着用を行う | 234件(24.0%) |
各家庭の判断に委ねられる | 526件(53.8%) |
園全体でマスクを着用しない方針となる | 118件(12.1%) |
その他 | 99件(10.1%) |
最も多かった回答は「各家庭の判断に委ねられる(53.8%)」、続いて「園全体で引き続きマスクの着用を行う(24.0%)」、「園全体でマスクを着用しない方針となる(12.1%)」、「その他(10.1%)」となりました。
現在の政府の方針では、未就学児のうち2歳未満についてはマスクの着用を推奨せず、2歳以上については「他者との距離にかかわらず、マスク着用を一律には求めていません(厚生労働省)」という内容でした。結果を見ると、2歳児以上でマスク着用を実施している園や、引き続き実施する意向の園が一定程度あるという結果には少し驚かされました。
全体の10.1%を占めた「その他」を選んだ方からのコメントを一部抜粋してご紹介します(原文ママ)。
- 現在も子どもにマスクは推奨しておらず、現状と変わらないです!
- 集会で、複数のクラスが一つの部屋に集まる時などは、マスク着用を行う予定
- 園全体では外してOKにするが、体調不良で自己判断としてます
- コロナの状況を見極めつつ、来年度からは保護者の意向に任せられる予定です
マスク着用義務の緩和に伴う変化について
最後に、今回の方針変更に伴う他の施策への影響についてお聞きしました。
すでにあった | 271件(28.3%) |
まだないが今後変化すると思う | 515件(53.8%) |
ない | 142件(14.8%) |
その他 | 29件(3.0%) |
最も多かった回答は「まだないが今後変化すると思う(53.8%)」、続いて「すでにあった(28.3%)」、「ない(14.8%)」、「その他(3.0%)」となりました。
「今後変化すると思う」と「すでにあった」の合計で82.1%を占める結果を見ると、今回のマスク着用義務の緩和をきっかけに園の方針にも少なからず影響を与えそうです。
変化の具体例について寄せられたコメントを一部抜粋してご紹介します(原文ママ)。
- 異年齢、他のクラスとの関わりが無かったが、緩和によって集会が復活したり歌も再開した
- 給食の時のシールド(飛沫対策アクリル板)が無くなる!
- 卒園式の参列人数が1人から2人に戻った
社会全体の動きに比べて慎重に判断
今回は、マスク着用義務の緩和に伴う園の対応方針に関してのアンケート調査結果をお伝えしました。やはり保育施設は日々人が出入りをする場所ということで、社会全体の動きと比べても慎重に判断している状況が分かる結果となりました。一方で、目の前にいる子どもたちの育ちへの影響も懸念されます。一日でも早く、以前のような保育環境に戻ることを願っています。調査期間:2023年2月28日(1日)/調査方法:Instagramでアンケートを実施/調査対象:Instagramユーザー/有効回答数:1問目「Q. あなたの園では、3月からのマスクの着用はどうなりますか?(先生の状況についてご回答ください)」1,430件、2問目「Q. Q1(前出の問)で「個人の判断に委ねられる」と回答した方にお聞きします。3月以降、マスクを着用しますか?」1,180件、3問目「Q. あなたの園では、3月からのマスクの着用はどうなりますか?(2歳以上の子どもたちの状況についてご回答ください)」977件、4問目「Q. 今回の発表を受けて、「マスクの着用」以外の点にも変化(影響)がありそうですか?」957件
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