保護者対応は何のため?
保護者対応は経験のある先輩保育士でも緊張するものです。しかし保護者とのコミュニケーションが欠かせないのにはきちんとした理由があります。まずは、保護者対応の目的について確認していきましょう。子どもの様子の共有
保育園と家庭、それぞれ見ていない時間の子どもの様子は分かりません。しかし、子どもの生活をサポートする上で、1日を通した子どもの状況を把握しておきたいですね。保育者と保護者がお互いに見えていない部分を補完するためにも、コミュニケーションは重要になってきます。自宅での食事の様子やケガ、体調などを伝えてもらうことで、その日の保育で気を付けるべきことが見えてきます。逆に園での様子を知ってもらうことで、保護者の安心や注意喚起にもつながり、クレームを未然に防ぐことにもなります。
保護者支援
保護者支援は、『保育所保育指針』にも挙げられている保育園や保育士の重要な役割の一つです。子どもが家庭でも安心して過ごせるよう、保護者の支援を行っていきましょう。忙しい毎日の中で保護者自身が疲れ切ってしまい、子どもとどのように向き合ったら良いのか分からなくなっている場合もあります。保育士は、保護者が悩みや不安を一人で抱え込んでしまわないよう、気持ちに寄り添い、受け止める役割を求められています。
信頼関係の構築
保護者との信頼関係を作るためには、日頃からのこまめなコミュニケーションが不可欠です。子どもの成長を共に喜んだり、気持ちへの寄り添いを積み重ねたりすることが、信頼関係の形成に繋がります。安心して保育園に子どもを預けてもらうためにも欠かせませんね。例えば、子ども同士のトラブルの報告をするにしても、信頼関係がないと不信感を生むことになりかねません。日々の様子を伝えていくことで、保護者が「集団の中でも子どものことをしっかり見てくれている」という信頼感を持てるように関わっていきましょう。
運営に関する理解の促進
保育園の運営を行っていく上で、保護者の理解や協力が必要な場面も多々あります。保育方針や行事の意義、安全対策など、丁寧に説明することで保護者の協力が得られやすくなり、円滑な園の運営につながります。問題が起きてから説明しても「聞いてなかった」とさらなる不信感へと繋がってしまいます。クレームが発生する前に、日々のコミュニケーションの中で園の運営に関する理解を深めていくことが大切です。
保護者へ伝える内容
「何を話せば良いのか分からない」「話すことが思い浮かばない」という方は、まず基本的なことから意識して話せるようにしましょう。ここでは、普段の会話で伝えたい3つのポイントをご紹介します。生活や遊びの様子
保育園での生活や遊びの様子を伝えましょう。このとき、「〇〇くんとブロックで車を作って楽しんでいましたよ」など、できるだけ具体的に伝えることがポイントです。子どもの姿がイメージできると、保護者も安心ですね。保護者は次のようなことを気にしている場合が多いです。
- 集団生活についていけているか
- 困った時は先生に助けてもらえているか
- 楽しく過ごせているか
- 友だちと遊べているか
- 誰と仲が良いのか
できるようになったこと
保育園でできるようになったことや成功したことは積極的に伝えましょう。「自分でお着替えができましたよ」「トイレでおしっこできました」などの報告を聞くと、保護者も嬉しいですよね。保育者が子どもの姿を肯定的に捉えていることも伝わります。「歩けるようになった」など、保護者が初めて見ることを楽しみにしている姿は、あえて伝えない場合も。園の方針を確認しておきましょう。
支援したこと
保育士は子どもの個性や発達に合わせて、主に次のような場面で支援を行っています。- 生活習慣(着替え・食事・排泄など)
- 遊び(製作・運動など)
- 友だちとの関わり
保護者へ伝える方法
日々の保育の中で、保護者とコミュニケーションを取る方法はたくさんあります。状況に合わせた方法で、保護者との信頼関係を築いていきたいですね。ここからは、保護者対応を行う際の基本的な方法を3つ紹介します。口頭で伝える
登園・降園の時間には、口頭で短く情報交換を行います。「今日は〇〇君と協力して砂場で大きな山を作っていましたよ」など、具体的なエピソードを伝えると良いでしょう。「トイレで排泄ができました」など、成長の様子も伝えたいですね。ケガや子ども同士のトラブルに関しても、その日のうちに口頭で伝えておきたいですが、内容によっては伝える場所や声の大きさに気を付けましょう。他の保護者や子どもたちが聞いている可能性を考えておきたいですね。
>>「話し方」について、詳しくはこちら
連絡帳で伝える
コミュニケーションツールとして連絡帳を活用している園も多いでしょう。保護者によっては話すより書く方が伝えやすいという方もいるので、上手に取り入れたいですね。保護者からの質問や相談が記入してあれば、丁寧に返答をしましょう。ただし、ケガやお友だちとのトラブルなどを連絡帳で伝えるのはNGです。必ず口頭で伝えましょう。その時の状況や子どもの様子などを、保護者に不安が残らないように説明することが大切です。また、子ども同士のトラブルについては、「相手の名前を出さない」などの決まりがある園もあるので、園の対応を確認しましょう。
>>「連絡帳」について、詳しくはこちら
面談で伝える
保護者からクレームが発生した場合や、子どもの成長や課題について深く話し合いたいときは、面談が適切です。時間と場所を確保して、ゆっくりとお話する機会を設けたいですね。面談で重要なのは「傾聴」です。保育士は、保護者の悩みや考えをまるごと受け止めるようにします。その上で必要であれば、保育士としての専門知識や経験を踏まえたアドバイスを行いましょう。
>>「保護者面談」について、詳しくはこちら
保護者対応は日々の積み重ね
保護者対応に苦手意識のある方は、毎日の基本的な伝達から一歩ずつ積み重ねていきましょう。難しい場面では、先輩保育士に相談し、保育士同士で協力して対応していきたいですね。保護者対応について悩んでいる方は、参考にしてみてくださいね。
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