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「モンテッソーリ教育の始まり」のエピソードとは?保育観がガラッと変わった話

モンテッソーリ教具の円柱さしで遊ぶ子ども
モンテッソーリ教師“ゆかり先生”による、コラム連載がスタート! 記念すべき第1回は、ゆかり先生の保育に対する考え方がガラッと変わるきっかけとなった、「モンテッソーリ教育の始まり」のエピソードについてです。

モンテッソーリ教師のゆかり先生と申します

絵本の読み聞かせをするモンテッソーリ教師のゆかり先生
みなさん、こんにちは! 「モンテッソーリほいくのたね」という名前で活動している、ゆかり先生と申します。ほいくisさんとは以前からご縁があり、保育士座談会や、Webセミナーの「モンテッソーリ教育ミニ講座」にも登場させていただいています。この度、コラムを連載させていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

せっかくなので、軽く自己紹介させていただきます♪

私は、保育園の先生への憧れと、年の離れた妹や年下の子のお世話をすることが好きだったことから、保育士養成校を卒業後に何の迷いもなく保育園に就職しました。子どもが好きで楽しさも喜びもありましたが、大変なことも多くて退職。その後はフリーターをしてみたり、また保育園で働いてみたり、IT企業で働いてみたりと、ここまでで、一本コラムが書けてしまうくらいさまざまな仕事を経験してきました(笑)。

モンテッソーリ教育との出会い

モンテッソーリ教具で遊ぶ子どもたち
そんな私がモンテッソーリ教育に出会ったのは14年前。フリーター生活に疲れて再び保育園に就職したことがきっかけでした。たまたま再就職した園が、モンテッソーリ教育を導入していたのです。

それまで、みんなで同じ時間に同じことをする保育しか経験がなかったので、最初は子どもの手が届く場所に遊べるものがある環境、各々がやりたいことを選んで過ごす時間に戸惑い、気持ちが落ち着かずにイライラしてばかりの毎日でした。「モンテッソーリ教育なんて、ただ保育士が大変なだけ!何が良いかわからない!」なんて思っていました。

その考えが変わったのは、モンテッソーリ教育の始まりと、子どもの見方を学んだことがきっかけでした。

モンテッソーリ教育の始まり

モンテッソーリ教具の円柱さしで遊ぶ子どもの手
モンテッソーリ教育の始まりは、イタリアの医師であったマリア・モンテッソーリ(1870-1952年)が、障がいのある子どもたちと出会ったことがきっかけとなりました。今回は、そのエピソードを紹介します。

ある日、医師の仕事で病院を訪れたマリアは、障がいのある子どもたちが集められている部屋の前で足を止めました。見張りをしていた女性に、この部屋の子どもたちについて聞くと、その女性は「この子たちは意地汚い。食事の後、床に落ちたパンくずを拾って食べるんだから」と、とても嫌そうな表情で話したのです。

それを聞いたマリアが部屋の中を見ると、そこには子どもが遊んだり使ったりするものが何もありません。さらに、パンくずを拾う子どもたちの様子を観察すると、小さなパンくずを見つけて指先を使って拾う時の子どもたちの真剣な姿を発見したのです。

その姿から「ひょっとして手が使いたいのでは?」と感じたマリアは、指先を使う教具を作り、子どもたちに提供してみました。すると、「手を使いたい」という欲求が満たされた子どもたちは、パンくずを拾うこともなくなり、落ち着いて過ごすようになりました。この出来事がきっかけとなり、それ以降に「モンテッソーリ教育」として確立されていく考え方が生まれたのでした。

子どもを見る目

ピンクタワーを積み上げて遊ぶ男の子
見張りの女性とマリアは、同じ“パンくずを拾う子どもの姿”を見ていたのに、その捉え方が大きく異なっていました。その理由は、「子どもを見る目」にあります。

一般的に大人は、自分の経験や価値観のフィルターを通して物事を見て判断しています。そのため、子どもを見る時も「子どもとはこういうもの」という先入観を持って見てしまうことが多くあります。しかしマリアは医師であったので、目の前の出来事を観察し事実に基づいて考える習慣が身に付いていました。

モンテッソーリ教育の実践とは、手作り教具を作って与えるだけでも、教具の使い方が完璧にわかることでもありません。「子どもを観察し、その姿から考える」「いつでも子どもが出発点」。このエピソードを通して、これがモンテッソーリ教育を実践するうえで一番大切な大人の姿勢だとわかりました。

モンテッソーリ教育に出会ってからの私

このモンテッソーリ教育の考え方を知り、それまでは子どもを観察する・見守ることができない、待てない保育士だった私が、本当の意味で「見守る」ことができるようになりました。

ちょっとした子どもの行動や、大人にとっては困ってしまう行動にも理由があることがわかり、それまでより怒らない保育をできるようになったのです。モンテッソーリ教育を学ぶ前よりは、子どもにとっても良い先生になれたような気がしています。「あぁ、保育って楽しいな~」「子どもって面白いな~」と思えたことがきっかけで、保育という仕事に誇りを持ち、子どもと過ごす時間が何倍も楽しくなりました。

このような経験から、私は今、多くの保育士さんや保護者の皆さんにモンテッソーリ教育の考え方を知っていただけるよう活動しています。

モンテッソーリ教育は、どんな子どもにとっても魅力的で、どんな大人にとっても「知っててよかった♪」と思える考え方やアイデアがいっぱいあります。このコラムでは、モンテッソーリ教育のアイデアから保育に活かせることを紹介していきます。どうぞ、お楽しみに~♪

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新子由香里(あらこ ゆかり)

この記事を書いた人

新子由香里(あらこ ゆかり)

専門学校卒業後、保育士として13年勤務。クラス担任はもちろん、主任保育士や人材育成部門を担当。二つ目の園でモンテッソーリ教育に出会い、日本モンテッソーリ教育綜合研究所にて3~6歳教師資格、0~3歳教師資格を取得。現在は、保育に活かせるモンテッソーリ教育をテーマにした保育士向けオンラインサロンや、モンテッソーリ教育導入支援、先生方への研修等を行っています。「モンテッソーリ教育をするのではなく、モンテッソーリになる」という言葉を理念に、子どもから学ぶことを大事にしています。

<ホームページ>
『モンテッソーリほいくのたね』
https://montessori-hoikunotane.com/

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