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深刻化するブラジルの新型コロナ禍で園が抱える問題【カノア保育園の生活】

ブラジルカノア保育園コラムのメイン写真
ブラジル・カノア保育園の現状についての続報です。園の設立ストーリーと並行して、地元の文化や地元の生活を紹介していますが、現在世界2位の感染者数となってしまったブラジルでは、今も拡大が止まらない新型コロナウイルス。カノア保育園のある地域にも感染者が出るなど、心配な状況です。
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ブラジルは世界第2位の感染者数

日本では新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も解除され、「新しい日常」を送るべく、学校、企業など、工夫を凝らしながら活動を再開させています。そんな中、ブラジルは今、世界第2位の感染者数(2020年6月現在)となり、他国が減少傾向にある中、未だに増加し続けています。

私が住むアラカチ市でも増加の一途をたどっており、しかもデング熱が現れたことで、さらに状況は悪化しています。デング熱になると体力が低下し、免疫力も弱まるといわれています。私自身もデング熱にかかった時、丸1週間、食事がのどを通らず、何とか水分補給としてココナッツ水を飲むだけの日々でした。ベッドから起き上がることさえもできません。あまりにひどい時は、病院に赴き点滴をしてもらう。そんな状態の中、新型コロナウイルスにかかってしまったら、重症化することは目に見えています。

カノア保育園のある村でも感染者が

先日、カノア・ケブラーダ地区にある保健所から、連絡が入りました。

「エステーヴァン村の住民が新型コロナウイルス陽性と診断されたよ。」

人口約300人の村。その村で一気に4人の感染が判明したのです。10代の若者1人と、大家族の夫婦と子ども1人が感染したとのこと。この2家族の濃厚接触者は検査を受けることとなり、中には生後数か月の赤ちゃんもいました。エステーヴァン村はみんなが親戚であるといっても過言ではない小さな村。それだけに、感染拡大は免れないのではないか。と、保健所の看護師は心配していました。


地域に開放している井戸をどうするか

その日から、カノア保育園の先生たちとのオンライン会議が続きました。議題は、「井戸の閉鎖に関して」。カノア保育園の園庭には、地域に開放している井戸があります。水道の水は飲み水などに使えないため、多くの人はミネラルウォーターを購入しているのですが、井戸の水は検疫証明書を持つほどきれいな水。そのため、多くの村人はこの井戸の水を生活水(飲み水や料理に使う)として使っています。

村人の中に感染者が出たこと。しかも、その人たちは毎日何度も井戸の水を取りに来ていたこと。それを受け、私たちも何らかの対応をしなければならないのではないかと考えたのです。
  1. 蛇口は常に清潔にしなければならない。
  2.  密集しないように、園庭に入る人数を制限しなければいけない。
  3.  園庭に入る人は必ずマスクをつけ、可能な限り手袋をしてもらう。
これらを村人たちは守ってくれるだろうか? 1人でも守ってくれなければ、井戸の閉鎖を余儀なくされます。そうなると、水を購入できない家族への健康被害が広がってしまうのではないか。

話し合いを重ね、とにかく今は、注意喚起をしていくことにしました。1週間経過後に再度検証して、もし難しいようならやはり最終手段の井戸の閉鎖となってしまいます。閉鎖とならないように祈るばかりです。

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鈴木 真由美(すずき まゆみ)

この記事を書いた人

鈴木 真由美(すずき まゆみ)

保育士。ブラジル・カノア保育園 園長。2000年にブラジル北東部にある漁村カノアに渡り保育園の運営を始める。2006年にカノアでの支援を目的にした「光の子どもたちの会」を設立(2015年にNPO法人となる)。現地の地域力向上を目指して活動中。2児の母。

<光の子どもたちの会HP>
http://criancasdeluz.org/quem_somos_nos/quem_somos_jp.html

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