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家庭での「年齢に合わせた活動」をサポートするアイデア【コロナ禍の海外での保育】

リモート授業の教材キット
ブラジル・カノア保育園の設立ストーリーと並行して、地元の文化や地元の生活をお伝えする続編です。ロックダウンが続くなか、リモート授業となってしまったカノア保育園。今回は、保護者とのコミュニケーションのエピソードを紹介してもらいます。
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保育園の活動に「リモート授業」は本当に適しているの?

前回は、私たちがどのようにして「リモート授業」を行っているのか?ということをお話させていただきました。 もしかしたら、皆さんが想像していたものとは異なっていたかもしれません。

また、「保育園の授業をリモートでなんてできないよ!」とおっしゃられる方もいるかもしれません。

確かに“保育園”というのは、小学校以上のように“授業”を行っているわけではないので、どうしても自宅にいる子どもたちに対して私たちができることには限りがあります。

それと同時に、家族のサポートがなければ、到底実現するものではないことも確かです。



自宅で行う「保育のリモート授業」の具体的な内容

カノア保育園のリモート授業教材セット
もともとカノア保育園で行っていた活動には、粘土やお絵描き、物語の読み聞かせなどがあります。

「保育のリモート授業」を始めるときには、これらを各家庭で行ってもらうための工夫が必要でした。カノア保育園のある地域では、そもそも家庭に十分な教材や環境がそろっていないケースが多いからです。

読み聞かせに関しては、カノア保育園のある地域では本を持っている子どもが少ないため、私たちが「読み聞かせ動画」を作成して提供しています。

そして、粘土やお絵描きをするための紙、色鉛筆、クレヨン、絵の具などは、毎月の教材キットを作成し、子どもたちに届けています。

基本的には指定された日時に保護者がカノア保育園を訪れ、受け取ります。

その際に大切にしているのは、保護者とのコミュニケーションや子どもの様子の聞き取りです。

保護者とのコミュニケーションで大切にしていること

久ぶりに対面で合う保護者の皆さんと話すときは、このようなことを心掛けています。
  • まずは子どもの様子を聞かせてもらうこと
  • 自宅ではどんな様子なのか
  • 子どもだけでなく家族すべての人のことを教えてもらう
  • 仕事など経済的な面で困っていることはないか
  • その他に聞きたいことはないかなど
限られた対面時間でじっくりと話を聞きます。リモート授業で使用しているコミュニケーションアプリ(Whats App)で話を聞くことは出来ますが、やはり直接会って顔を見て話すというのは、重要だと私たちは考えています。

またこの時に預かってもらえる人がいない場合には、子どもも一緒に来ることがあります。

そんなときは、子どもと直接関わり、遊びながら、話をし、子どもの状態を確認することにしています。

1年以上も通園しない日々が続いていることで、子ども達自身の成長を私たちが目の当たりにできる貴重な機会ともなっています。

キットを受け取ると、課題に合わせて製作したものなどを、コミュニケーションアプリ(WhatsApp)のグループに保護者の皆さんが投稿してくれます。
カノア保育園の保護者とのやり取りイメージ

「もう、6月のお祭りの紙風船をお母さんの手を借りて作り上げました。今度は弟の分を作るんだと張り切っています」

「今回は一人で頑張るというので見守っていました。できあがりをみながら二人で大笑いです」

グループチャットには、こんなメッセージが並びます。写真だけでなく、動画で投稿してくれるため、子どもと保護者の関わり方も見ることができ、とても助かっています。

7月は長期休暇となります。8月以降、どのような形式となるのかまだ分からない状態の中、私たちはどのような状況になったとしても対応できるよう、準備を進めています。

カノア保育園を取り巻く、いまの状況は?

そんなカノア保育園のあるセアラ州アラカチ市では、教職員に対する優先的なワクチン接種がスタートしました。

カノア保育園の教職員も6月10日に無事、1回目の接種を終えることができました。

その後、「2回目の接種はいつなの?」と聞くと、「3か月後だからまだ日程は分からない」とのこと。私は3か月後ということにびっくりしてしまいました。

しかも、接種がいつになるか分からないとは…忘れられることなく、2回目の接種を受けられることを願うばかりです。


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