思わぬ事態は当たり前
お子様だけでなく、保護者や保育士さんにも大人気のお二人ですが、コンサートで観客の気持ちをつかむために心掛けていることはありますか?
ケロさん(以下敬称略):まずは自分たちが楽しんでやるっていうのは基本にあります。あとは、その会場での子どもたちの様子をよく見るようにしています。ライブなので会場ごとに子どもたちの様子も違うので…。
ポンさん(以下敬称略):プログラムも一応決まってはいるんですが、是が非でもそれを通すぞ! ではなくて、そこにいる子どもたちと一緒にライブを作っている感じでゆるくやっています。途中で子どもがツッコミをしてくれるのを拾ったり。コミュニケーションが大事ですよね。
そういう場面は舞台上で急に起こることですが、お二人で「こういうときは、こうしよう」とあらかじめ相談されているんですか?
ケロ:してないです。もう長く一緒にやっているので(笑)。
ポン:そういう予想外のことがあった方がおもしろい時が多いです。子どもって、思わぬことをやったり言ったりするというのが根本にあるので。エビカニクスを踊っていて、ハッて気づいたら子どもがステージに立って一緒に踊っていたりとか(笑)。でも、それを追い返すんじゃなくて「今日は一緒に踊るか!」とか。臨機応変にやることが楽しいですね。
二人だからこそ、助け合える
たくさん活動されてきた中には、体調が整わないときもあったかと思います。どうしていますか?
ケロ:昔、声が出にくくなってしまったことがあったんですが、表情だけでも楽しい気持ちは子どもたちに伝わるんだな~と思いました。ポンちゃんと一緒に歌うので、2人組というところに助けられているところもあります。
ポン:そうだね~。でも、私たちはパフォーマンスだけど、保育は日々のものだから声が出ないとつらいですよね…。そういうときは、「今日ね、先生元気ないんだ~」って子どもたちに言っていいと思う! 「先生にもそういうときあるんだ」とか、人はいつも元気じゃないっていうのを知るにもいい機会になりますよね。いつも元気で楽しくて、パーフェクトないい先生でいる必要はないと思います。
ケロ:子どもって本当にやさしいから、「声が出ない」とかいうとすごく静かに話聞いてくれるんですよね。
ポン:うん。保育士のときの同僚が足を骨折したことがあって、1か月お散歩とかなにもできなかったんですけど、子どもたちと毎日「お医者さんごっこ」をしていました(笑)。一見悪く見えることも、そのまま子どもの日常につながることも少なくないですよね。
支え合うというのは、大きいですよね。
ポン:保育士さんだって普通に、園で体調が悪いとか、思っていることを言えるといいですよね。でも難しければ、どこかに話しやすい友人や家族など心のバケツを用意して、そこに吐き出すといいですよ。
“楽しく踊ること”を考える
保育士さんや幼稚園の先生も、子どもたちの前でダンスしたり歌ったりする場面が多いですよね。苦手な方も結構いると思いますが、そういうときはどう吹っ切ればいいんでしょうか。
ケロ:楽しい気持ちが表れれば、自然に笑顔になりますよ。それに、キレキレに踊ることが目的じゃなくて子どもたちと一緒に楽しく踊ること。それが一番だと思います。
ポン:私も保育してたとき、無理にみんなをひきつけなきゃ! と思ってました。でも、大人の意図って子どもたちに伝わるんですよね。だから、一緒に楽しもう! くらいでいいと思います。
私はダンスが好きで保育のときも思いっきりやっていたんですが、同僚は「恥ずかしい」と言っていました。
ケロ:恥ずかしい人は、無理することはないと思います。自分のやり方でいいんですよ。
ポン:私も最初恥ずかしかったんです。「私のことは見ないで~!」って思いながらやっていたんですが、知り合いの人に「あなたが恥ずかしいと思ってやってると、見てるこっちが恥ずかしいから、やるんだったら恥ずかしいと思いながらやるのはやめてほしい」と言われて(笑)。もし吹っ切れるんだったら、恥ずかしい気持ちは子どもの前では捨てる! 今でも恥ずかしい瞬間は、私でもありますよ!
決まりは少なく、楽しく
ケロさんとポンさんのパフォーマンスを見ていると、同じ振り付けでも微妙に違っていて個性がありますよね。それがおもしろいです!
ケロ:そうですね! 100人いたら100通りの体だし、動きだと思うのできちっと揃えてみたいなことはやりませんね。
子どもたちも、自分が思うままに踊れる方が楽しいですよね。
ポン:そうですよね。決まりは少なくていいと思っています。楽しむことが一番です。あとは、子どもとの心の距離をはかりつつやるのも大切です。今日は子どもたちはどんな状態なのかな? と、寄り添うことを第一に考えています。保育をするときも、それを基本に置いていたら間違いないんじゃないかと、私は思います。
ケロ:私はステージ上でエビカニクスを踊るときは、自分ではキレキレに踊っているつもりなんですよね(笑)。それは、「子どもたちと一緒に、やるときは一生懸命全力でやる!」ということ。
ポン:休むときは、全力で休む(笑)。
ケロ:パフォーマンスも保育も、子どもと一緒に作っていくものですよね。
楽しみながら活動を行っていることが伝わりますね。次回は、ケロポンズのお二人が考える子どもたちとの関わり方のポイントや、活動の中で大切にしていることをご紹介します!
増田裕子(ケロ)と平田明子(ポン)からなるミュージック・ユニット。平田が増田のバンド「トラヤ帽子店」のファンだったことが縁で1999年結成。あそびうたや体操の作詞、作曲、振付を手掛けるほか、親子コンサートや保育者を対象にしたセミナーなど精力的に活動を行う。代表作「エビカニクス」のYouTube動画再生回数は2019年6月時点で5,000万回を突破。NHK「おかあさんといっしょ」、BS日テレ「それいけアンパンマンくらぶ」への出演・楽曲提供、フジロックフェスティバル出演など、多方面で活躍中。
2019年6月で結成20周年を迎えるケロポンズ。
記念ベストアルバム・イベントなど目白押しです!
『エブリデイ あそぼう! ケロポンズ BEST』
ケロポンズ20周年を記念した、新曲&BEST曲全24曲がつまった2枚組ベストアルバム
【発売】2019年7月10日(水)
【価格】2,700円(税別)
20周年記念コンサート『ツイてる!ツイてる!エビカニフェス』
【日時】2019年8月4日(日)
開場:13:00~ 開演:14:00〜16:00(途中休憩あり)
【会場】浅草公会堂(東京都台東区浅草1丁目38−6)