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4歳児の発達過程と保育のポイントを解説

草原でサッカーボールを持っている男の子
4歳児の保育のポイントは「子ども同士の関わり」です。友だちとの関係の中で発達が促されるような保育を展開していきましょう。今回は、4歳児の発達過程と保育のポイントについて解説します。

4歳児の発達過程とは

4歳児の発達過程について、生活習慣・運動・言葉・社会性・概念の5つの観点から確認していきます。発達過程や得意・不得意によって個人差が見られるので、めやすとして参考にしてください。

生活習慣

4歳頃になると、食事・排泄・衣服の着脱など身の回りのことが自分でできるようになります。手洗い・うがいの習慣がつき、少しずつ健康や安全に気をつけながら生活できるようになります。

運動

ブランコに乗る3人の男の子
力強くダイナミックに動けるようになる一方で、スキップや片足跳びなど、全身のバランスを調整しながら動けるようにもなります。

微細運動も巧みになり、左右で異なる動きができるようになります。2つの動作を同時にできるようになるので、作ったり描いたりする力もついてきます。

言葉

発音が明瞭になり、自分の経験を思い出しながら話せるようになります。さまざまなことに疑問をもつ頃なので、「なんで?」「どうして?」といった言葉が増えます。

ひらがなにも興味を示し、自分の名前を読めるようになってきます。

社会性

自意識が芽生え、他者の目を気にするようになります。友だちとのつながりが深まる一方でケンカも増えます。不安や葛藤を乗り越えながら、相手の気持ちを考えたり、自分の気持ちを抑制したりする力が育まれていきます。

概念

緑のボールを見つける男の子と女の子
想像力が豊かになり、イメージをふくらませながら遊べるようになります。物の大きい・小さいや、量の多い・少ないがわかるようになり、比較や選択ができるようになります。

また、10までの数を理解し、唱えたり、数えたりできるようにもなってきます。

保育のポイントは?

シャベルとバケツを持っている女の子

ねらいと関わり方

保育所保育指針に記載されている《3歳以上児の保育に関するねらい》は以下の通りです。
【健康】 
①明るく伸び伸びと行動し、充実感を味わう
②自分の体を十分に動かし、進んで運動しようとする
③健康、安全な生活に必要な習慣や態度を身に付け、見通しをもって行動する
 
【人間関係】 
①保育所の生活を楽しみ、自分の力で行動することの充実感を味わう
②身近な人と親しみ、関わりを深め、工夫したり、協力したりして一緒に活動する楽しさを味わい、愛情や信頼感をもつ
③社会生活における望ましい習慣や態度を身に付ける
 
【環境】 
①身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心をもつ
②身近な環境に自分から関わり、発見を楽しんだり、考えたりし、それを生活に取り入れようとする
③身近な事象を見たり、考えたり、扱ったりする中で、物の性質や数量、文字に対する感覚を豊かにする
 
【言葉】 
①自分の気持ちを言葉で表現する楽しさを味わう
②人の言葉や話などをよく聞き、自分の経験したことや考えたことを話し、伝え合う喜びを味わう
③日常生活に必要な言葉が分かるようになるとともに、絵本や物語などに親しみ、言葉に対する感覚を豊かにし、保育士等や友達と心を通わせる
 
【表現】 
①いろいろなものの美しさなどに対する豊かな感性をもつ
②感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ
③生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ

出典:保育所保育指針(平成29年告示)/こども家庭庁 >>詳細はこちら
上記のねらいと子どもの姿を踏まえ、4歳児クラスのねらいを考えます。

【ねらいの例】
  • 保育者や友だちに親しみをもつ
  • 体を動かすことを喜び、さまざまな運動に挑戦する
  • 友だちと一緒にルールのある遊びを楽しむ
  • 自然に親しみ、美しさや不思議さを感じる
  • 自分の考えを相手にわかるように伝える

4歳児は、できることが増える一方で「イメージ通りにできない」という葛藤を抱える時期でもあります。保育士は子どもを直接サポートするだけでなく、友だちとの関係性の中で「こうしたらよかったんだ」と気づきが得られるよう、間接的な支援も行っていく必要があります。


成長した姿を認めつつ、意欲を育んでいきましょう。

4歳児の姿と対応方法

4歳頃になると自意識が芽生えるので、保育士の言葉かけをできるだけ減らし、子どもが主体的に行動できるよう環境を整えましょう。

おもちゃの置き場所や生活の流れは、イラストや写真を活用すれば、自分で確認して行動できます。遊びや生活の中で使うものは、子どもの手に取りやすい場所に配置しましょう。
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おすすめの遊び・活動例

シャベルを持っている帽子を被った女の子
遊びを通して友だちとの関係を深め、心身の発達を促す保育を行っていきましょう。ここからは、4歳児におすすめの遊びをご紹介します。

屋外遊び

屋外ではダイナミックな動きができる集団遊びや、自然物に触れる機会を設けていきましょう。

【集団遊び】
  • 鬼ごっこ
  • だるまさんが転んだ
  • はないちもんめ
【自然物を使った遊び】
  • 虫探し
  • 花集め
  • 色水づくり

室内遊び

赤い積み木を積み重ねている子どもの手
ルールのある遊びや、友だちと協力してできる遊びを取り入れましょう。指先を使う遊びもおすすめです。

【ルールのある遊び】
  • 椅子取りゲーム
  • フルーツバスケット
  • ハンカチ落とし
【協同性のある遊び】
  • ブロック
  • 積み木
  • ごっこ遊び
【指先を使う遊び】
  • 製作
  • 紐通し
  • 粘土


クラス運営で気をつけること

オレンジのジャケットを羽織っている男の子
4歳児は友だち関係が深まる一方で、自分と相手の思いがすれ違ってケンカが増える時期です。ケガをしないように気をつけなければいけませんが、ケンカを通して自分の気持ちを表現したり、相手の気持ちに気付いたりする経験も大切なので、すぐに止めずに様子を見守ることも重要です。

保育士はすぐに解決法を提示するのではなく、子どもたちが気持ちを表現し合えるように支援します。「Aくんはこう思ったんだね。Bくんはこう思ったんだね。じゃあ、どうしようか。」と問いかけ、子どもの考える力を引き出していきましょう。


友だちとの関わりを大切にしよう

いかがでしたか? 4歳児は友だち同士の関わりを通して、精神的に発達を遂げる時期です。子どもたちの心の動きをよく見ながら、成長をサポートしていきたいですね。4歳児クラス担当の方は、参考にしてみてください。

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佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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