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保育園の「意向調査」を解説〜目的と向き合い方

園庭を見てたたずんでいる保育士
保育園で、職員を対象に行われる「意向調査」。次年度の進退の意向だけでなく、保育士の意見や考えを収集する場にもなっています。今回は意向調査の向き合い方について、運営側と保育士側、それぞれの視点で解説します。

意向調査とは

意向調査とは、管理職など園の運営側が保育士の就業意向や意見、要望を聞く調査のことです。双方にとって、普段の立ち話ではできないような内容を、じっくりと腰を据えて話すことができる数少ない機会です。ぜひ有効に活用していきたいですね。

ここでは、意向調査の目的や時期、形式について解説します。

目的

クリップボードに挟んである書類を見ている保育士
意向調査の最終的な目的は、保育園の円滑な運営です。そのために現場で働く一人ひとりの保育士の考えを聞き取り、問題や課題を把握します。

退職を考えている保育士がいる場合、園は代替の保育士を雇う必要があります。もともと余裕のある職員配置をしているのなら問題ありませんが、何人の保育士が退職を考えているのか把握しておくことは、園にとって次年度の運営を考える上で重要なポイントになります。

また同時に、保育士が現在どのような不安や課題を抱えているのかを把握する目的もあります。保育士側に悩みがあれば、運営側と一緒に改善の方向性を考えていくことで、保育の質だけではなく、職員の満足度やモチベーションの向上を図ることができます。

保育士はほとんどの時間を保育室で過ごします。運営側は、普段なかなかゆっくり話をする時間がとれないので、意向調査をもとに保育園の現状を知り、運営の見直しや改善を行うきっかけにしているのです。

時期

意向調査の具体的な時期や頻度は保育園によって異なりますが、9月~11月など秋頃に行う園が多いです。退職者が出る可能性もあるので、次年度に向けての採用活動の前に意向調査を行う必要があります。

中には年に2回、意向調査を行う園もあります。この場合のもう1回分は、春頃に行われることが多いです。新年度を迎えて環境が変わったことで、新たな不安や迷いが生じていないかを確認することが大きな目的となります。

形式

面談をしている保育士
意向調査は、アンケートや個別面談という形で行われます。事前に行ったアンケートをもとに面談を実施する園も。

面談の形式はマンツーマン、もしくは管理職が複数名で対応する場合もあります。面談を行う時間帯は、日中は保育から抜けられない場合が多いので、午睡の時間を利用することが多いです。

空間的には、職員が安心して話せるように、人の出入りがない落ち着いた空間で行うことが一般的です。

【保育士側】意向調査を受ける際のポイント

保育士にとって意向調査は、普段考えていることを上司や運営側に伝えられる機会です。率直な意見を伝えられるように、しっかり準備をしておきましょう。

意向調査を受ける際に、保育士が意識するポイントについて説明します。

内容

書類を持って考え事をしている保育士
意向調査は、保育士の意見や要望、不安などを聞くことが目的で、内容は以下のようなものが例に挙げられます。自分なりの考えをまとめておきましょう。

【内容の例】
  • 次年度の進退
  • 辞める場合はその理由
  • 次年度のクラスの希望
  • 現在のクラスの状況
  • 現在の悩みや不安
実際には、保育士同士の人間関係が悩みの種となっている方も多いです。この機会に上司や運営側へ相談してみるのも良いでしょう。対応や、次年度の配置を配慮してくれるかもしれません。

事前準備

面談前に、自分の伝えたい内容を整理しておくことが大切です。事前準備としては、以下のようなことが挙げられます。

【事前準備の例】
  • 相談・質問事項をまとめておく
  • 問題に関する具体例を挙げておく
  • 退職を伝える時は理由を明確にしておく
  • 園への要望があれば具体案を考えておく
普段は気軽に話せないことを伝えられるチャンスです。事前に伝えたいポイントをまとめておき、この機会を最大限に活かしていきましょう。

面談のポイント

保育士の横顔
面談では、自分の意見や考えを伝えることが重要です。上司や運営側のメンバーを前に緊張するかもしれませんが、伝えなければ理解してもらうことはできません。うまく話せなくても大丈夫です。事前に整理しておいた内容を伝えましょう。

注意点としては、「話のポイントがブレないようにする」ことが挙げられます。意図せず話が脱線して別の話題になってしまうことも。話がまとまったように見えて、実は最初に挙げていた問題は解決していなかった、ということにならないよう気をつけましょう。
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【管理職・運営側】意向調査を行う際のポイント

続いて、意向調査を行う運営側や接点となる管理職が考慮すべき内容、事前準備、面談のポイントについて解説します。

内容

意向調査は保育士の意見や要望などを聞くことが目的なので、内容は以下のような例が挙げられます。

【内容の例】
  • クラスの現状
  • クラス運営の悩み
  • 働き方に対する悩み
  • 保育園に対する疑問や要望
  • 次年度の進退
  • 次年度クラスの希望
メインは仕事の話になりますが、必要に応じて、保育士のプライベートに関する話を聞く場合もあります。特に子どもがいる保育士の場合は、ワークライフバランスで悩んでいることも。話をもとに次年度の配置や、働きやすい環境を考えるきっかけにもなります。

事前準備

意向調査を行うためには、事前に準備が必要です。以下に例を挙げます。

【事前準備の例】
  • 面談の要点整理
  • 面談日程の決定・周知
  • 面談場所の検討・確保
  • アンケートや進退届の配布・回収
面談では普段から抱えている不安を口にしたり、気持ちを受けとめてもらうことで安心して涙を流す保育士もいます。管理職で実施する側という方は、心の準備もお忘れなく。

面談のポイント

保育園の職員面談風景
面談の時には、話しやすい雰囲気を作ることが大切です。柔らかい表情で対応するように心掛けましょう。

また、意向調査では「話す」よりも「聞く」ことに重点を置きたいですね。批判的な意見でも「あなたはそう思っているんですね」と受け入れる姿勢を示しましょう。

上司との面談は緊張するものです。「何を言われるんだろう」と身構えている可能性も。安心して本音を話せるような雰囲気や姿勢を意識したいですね。

準備をして意向調査に臨もう

保育園の運営を考えていく上で意向調査は欠かせません。子どもたちに直接関わる保育士が大きな悩みや不安を抱えたままでは、質の高い保育は提供できないからです。運営側にとっては、保育士の考えを知り、必要な対処を行っていくことが大切。ポイントを押さえた意向調査で、より良い職場を作っていきたいですね。また保育士側にとっては、せっかくの機会を有効に活かせるよう、しっかりと準備をして臨みたいところです。これから意向調査の予定がある方は、参考にしてみてください。

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佐野 きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野 きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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