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保育における環境構成を解説〜配慮のポイントと書き方

保育室内の環境構成の様子
保育士は、環境を通して保育を行うことが保育所保育指針に明記されています。子どもの育ちを保障するためにも、指導案にある「環境構成」は大切な役割を果たしていると言えるでしょう。今回は、「環境構成」の概要と書き方について解説します。

保育の環境構成とは

保育室内にある遊具で遊ぶ男の子
「環境構成」とは、保育士が活動の前に準備する保育環境のことです。子どもの発達を促す上で重要なポイントとなる「環境」について、保育所保育指針では以下のように書かれています。
第1章 総則
1 保育所保育に関する基本原則
(4)保育の環境
保育の環境には、保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、更には自然や社会の事象などがある。保育所は、こうした人、物、場などの環境が相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものとなるよう、次の事項に留意しつつ、計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない。
出典:保育所保育指針(平成29年告示)/厚生労働省

子どもを取り巻く環境は「人・物・場」に分けられます。具体的に挙げると次のようになります。
  • …友だち・保育士・その他職員・地域の人など
  • …玩具・遊具・道具・素材・家具など
  • …保育室・ホール・給食室・園庭・地域など
子どもの発達や特徴をよく知らない人にとって、環境構成を考えることは難しいでしょう。普段から子どもと関わり、子どものことを熟知している保育士だからこそ「人・物・場」を計画することができます。このことからもわかるように、「環境構成」は保育の専門性の1つだと言えるでしょう。

配慮するポイント

環境構成を考える上で配慮するポイントを、保育所保育指針と照らし合わせながら解説します。

子どもの主体性

砂遊びの遊具で遊ぶ男の子
子ども自らが環境に関わり、自発的に活動し、様々な経験を積んでいくことができるよう配慮すること。
子どもが「主体性」を発揮できる環境に計画することが大切です。「主体性」とは、自ら「やってみたい」と思い、行動を起こすことです。子どもの好奇心を引き出す環境、そして子ども自身の力で実現できる環境を用意することが求められています。また、子どもの体験が偏らないような配慮も欠かせません。

安全と安心

子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること。
保育環境を考える上で一番重要なのは「安全」です。どんなにいい教育をしても、安全が守られていなければ意味をなしません。子どもの発達や行動を見越して、命や健康が守られる環境を準備する必要があります。安全が守られた環境の中でこそ、子どもたちは安心して成長していくことができます。

時間と空間

保育室内の遊具コーナーで大型ブロックを積み上げて遊ぶ男の子
保育室は、温かな親しみとくつろぎの場となるとともに、生き生きと活動できる場となるように配慮すること。
多様な経験ができる「時間と空間」を考慮に入れる必要があります。1日の中でゆったり過ごす時間も、思いきり身体を動かす時間も、両方大切です。また、集団で遊べる広い空間の他に、1人もしくは少人数で遊べる小さな空間も欠かせません。静と動のバランスを考え、さまざまな活動に取り組める環境を準備することが求められています。

人との関わり

ブロックで遊ぶ男の子と女の子
子どもが人と関わる力を育てていくため、子ども自らが周囲の子どもや大人と関わっていくことができる環境を整えること。
周囲の大人や友だちなど「人との関わり」が育める環境が必要です。子どもは人との関わり合いの中でさまざまな影響を受け、成長していきます。子どもの動線や物の配置を工夫することで、自然と人との関わりが生まれるような配慮が求められています。

環境構成の書き方

事前に保育の展開を想像し、適切な環境を準備するために指導案を作成します。

ここからは、指導案の中で環境構成を作成する手順を説明します。

配置図を書く

書類を作成している保育士
環境構成を行う際は、配置図を書くことで活動の流れや子どもの動きをイメージしやすくなります。

①活動する場所
保育室・ホール・園庭など、活動の場所を明確にします。どの位置から見た配置図なのかわかるように、目印になる物を書きます。
  • 保育室の場合 →扉やトイレなど
  • 園庭の場合 →園舎や大型遊具など
②机や椅子、棚などの配置
活動する場所に置く机や椅子、棚など物的環境の配置を書き入れます。製作を行う場合は素材や道具の位置を明確にするなど、活動に応じた物的環境を設定します。

③保育士の配置
子どもの安全を守り、適切な援助が行える場所に保育士を配置します。複数担任の場合は、それぞれの役割を明確にした上で、立ち位置を考える必要があります。

箇条書きにする

画用紙とハサミとのりを使って工作をしている女の子
環境構成を行う上で、配慮するポイントを箇条書きにしましょう。以下に例を挙げます。

【製作を行う場合の環境構成】
  • 素材や道具を子どもが手に取れる場所に配置する
  • はさみは使い終わったら片付けられるよう、所定の場所にカゴを置いておく
  • 個々のペースで取り組めるよう、製作と別の遊びの空間を分ける
  • 友だちとやりとりをしながら取り組めるよう、椅子は向かい合わせに配置する
子どもの動きをイメージしながら、事前にできる配慮を箇条書きにしましょう。適切な環境が設定されていれば、子どもは主体的に活動に取り組むことができます。

保育環境を整えよう

子どもが主体的な活動を行うために、環境構成は欠かせません。子どもの興味や関心は次々と変化していきます。保育士は子どもの発達や様子に合わせて、環境を再構成していきたいですね。指導案の「環境構成」を作成する際には、参考にしてみてくださいね。

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佐野きこ(さの きこ)

この記事を書いた人

佐野きこ(さの きこ)

現役保育士。
現在は子どもだけでなく、保育士や保護者など、子どもに関わる人をサポートする仕事がメイン。子どもも保護者も保育士も、みんなが笑顔になれる保育を目指している。
座右の銘は「保育士は、保育のプロである」
保育の専門家として、わかりやすく保育を語れるよう奮闘中。
家庭では、2人の息子のお母さん。

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