こんな言葉は逆効果!
日々の保育では、遊びやご飯、着替えなどさまざまな場面で子どもたちへの声かけが欠かせません。
保育士さんたちの言葉は、子どもたちの成長にも大きな影響があるので、その点を意識する必要があります。まずは、避けておきたい言葉から確認しましょう。
決めつける言葉
「どうせできないよね」「〇〇ちゃんはこっちでしょ」
子どものできること、できないことを決めつけるような言葉や、選択できないような状況にする言葉はNGです。
何度も言われることで、「自分にはできないんだ」と自己肯定感を低くする原因になることも。自分で選択し、挑戦できる環境を与えるようにしていきたいですね。
否定する言葉
「それはやっちゃダメ」「やめようね」
危険が伴うことを止めることはもちろん大切です。しかし一方で、子どもたちの興味の対象をなくしてしまうような否定的な使い方には注意が必要です。やってみる前からなんでも「ダメ」と言ってしまっては、経験を積むことができません。
失敗も当たり前という感覚で、危険がないように見守るのが保育士の役割です。
脅すような言葉
「やめないと鬼が来るよ~」「来ないなら置いていくよ」
何度声をかけても動かないときや、急いでるときにはつい言ってしまいそうな言葉。しかし、この言葉で動いてもそれは恐怖心からきている行動ですよね。
何かをさせるのではなく、子どもが主体的に行動できるような声かけをしていくことが大切です。
子どもの気持ちに寄り添おう
声かけで適切な言葉を選択するポイントは、子どもたちの気持ちに寄り添うこと。いくつかの事例を参考に実践してみましょう!
具体的に話す
「はやく食べてね」「しっかりやって」という言葉は曖昧で、子どもにはイメージがし辛いです。「12時30分までに終わろうね」など、具体的に話してみましょう。
「机に乗ってはいけません」という声かけも、どうして乗ってはいけないのかがわかりません。「落ちると頭をぶつけて危ないよ」と、理由を伝えて理解させることがポイントです。
期待を膨らませる
「この後楽しいことがある」という期待を膨らませる話し方もおすすめ。
例えば外遊びの前に「公園にお花は咲いているかな?」「どんな虫がいるかな?」「じゃあ、みんなで見に行ってみようね」と、子どもたちの興味を引き出していきましょう。
また、「そのために、まずはトイレに行こうね」と、次の行動につなげるきっかけにもなりますね!
気持ちを代弁する
お友達とケンカしたときや、泣いているときなど、まずは子どもの気持ちに寄り添って代弁してみましょう。
保育士が「〇〇したかったんだね」「〇〇が嫌だったんだね」と代弁することで、子どもが「自分の気持ちを理解してもらえた」と感じることは、自己肯定感を高める経験にもなります。
子どもの知っている言葉を使う
話をするときには、子どもの知っている単語を使ってみましょう。
そうすることで、子どもたちも理解しやすく、行動に移しやすくなりますよ。「アリさんの声でお話ししよう」「ぞうさんのお耳で聞いてね」と動物の名前を出すのもイメージしやすくおすすめですよ。
「~しよう」に言い換える
否定語ではなく、提案をするように語りかけてみましょう。
「こんなところにコップを置いたら危ないよ」という言葉も、「落ちるとお水がこぼれちゃうから、真ん中に置いておこう!」と伝えるほうが、わかりやすいですよね。
【場面別】子どもに伝わりやすい声かけ5つの具体例
保育園の生活や遊びのシチュエーションの中で、子どもに伝わりやすい言葉や分かりやすい声かけをご紹介します。
①室内遊び「お部屋は歩こうね」
子どもたちは楽しくなると部屋の中でもつい走ってしまいがちです。部屋で走るとぶつかったり転んだりして危ないので、 保育士としては「走っちゃだめ!」と言いたくなりますよね。
そんなときは「お部屋は歩こうね」などと声をかけてみましょう。「〜はダメ」ではなく「〜しようね」と望ましい姿を伝えることは、子どもにとって分かりやすい言葉になります。
②片付け「ダンゴムシさんが待ってるよ」
朝の室内遊びの後は片付けをしたりトイレに促しますが、「片付けたくない」「トイレに行きたくない」などと主張する子もいるのではないでしょうか。生活が次の場面に移る際に気持ちが切り替えられないときは、子どもが先の見通しを持ち、期待が高まるような声かけがおすすめです。
戸外に虫がいる時期なら「お庭でアリさんがお散歩してるかな?」「ダンゴムシさんが◯◯ちゃんのこと待ってるよ」などと、ワクワクが広がり、楽しい気持ちになれる声かけをすると、子どもも次の行動に移りやすくなります。
その子の好きなもの、楽しんでいることを上手く声かけに取り入れると、「子どもに伝わりやすい言葉」になります。
③入室「もっと遊びたいんだよね」
公園や園庭で遊んでいると子どもたちは夢中になっているので、「片付けだよ」と言われてもすぐに気持ちを切り替えるのは難しいです。そんな場面では子どもの気持ちを代弁してください。
「◯◯くんはもっと砂場で遊びたいんだよね。 」
「◯◯ちゃんはおいかけっこをやりたいんだよね。 」
「先生はわたしの気持ちをわかってくれた!」「そうなんだよ、ぼくはもっと遊びたいんだよ!」などと、子どもたちは嬉しい気持ちになります。
その上で、「じゃあ、このお山ができたら片付けようね」「あと1回おいかけっこをしたらお部屋に入ろうね」などと遊びをおしまいにするポイントを提案します。
子どもの気持ちを代弁で受け止めつつ保育士の思いも伝えて、子どもと一緒に生活を進めていくのが主体的な保育ではないでしょうか。
④健康教育「野菜は風邪バイキンから守ってくれるよ」
手洗いやうがいだけでなく、食事や栄養、体調管理など、元気に過ごす方法を子どもたちに教える「健康教育」を保育園でも行うことがあります。このとき大事になるのが、子どもにとってわかる言葉、知っている単語を使うことです。
「手をせっけんで洗ってバイキンをやっつけよう 」
「野菜はみんなを風邪バイキンから守ってくれるよ」
「ご飯を食べると元気もりもりになれるよ」
身近な言葉で伝えると子どもたちも理解しやすいので、「ピーマン食べたから強くなったね!!」などと意欲的な姿につながりやすくなります。
⑤昼食「あと1つ食べたらおかわりしようか」
「数字や数」は子どもにとって分かりやすい言葉の1つです。 例えば昼食時、苦手なものがお皿に残っていて困っている子がいる場面はよくありますよね。
そんなときは、
「あと1口食べたらおかわりしようか」
「コーンを3つ食べたらごちそうさましようよ」
「時計の針が4になるまでに食べられるかな? 」
などと具体的な数字で伝えると、見通しを持てて行動しやすくなります。
子ども主体の声かけをしよう
いかがでしたか? 子どもに伝わりやすい声かけは、なかなか難しいものですよね。子ども主体の声かけを心掛けて、実践していきましょう!
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