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保育園で『花育・植物栽培』をしていますか?【アンケート結果】

サツマイモを収穫する子ども
自然と触れ合う機会を大切にしようと、保育に花や野菜の栽培活動を取り入れている園が増えています。保育者さんの中には「他の園ではどんな植物を育てているの?」「子どもたちにはどんな作業をしてもらったら良い?」と気になっている方もいるかもしれません。今回は、ほいくisメンバー(会員)を対象に行った、保育園で行う『花育・植物栽培』についてのアンケート結果を紹介します。
【調査結果の転載について】
本調査結果については、以下の2点に対応いただければ転載することが可能です。
1. 出典元として「ほいくis」を明記
2. Webサイトに掲載する場合は下記のリンクを設置
URL:https://hoiku-is.jp/
※リンク設置ができない場合は、個別に問い合わせフォームからご相談ください。

保育園で『花育・植物栽培』を行うねらい

近年、花や緑に親しむ情操教育の一つ「花育」や、野菜や果物などを育てる「植物栽培」を保育に取り入れている園が増えてきています。保育園で花育・植物栽培を行うねらいには下記のようなものがあります。
  • 花や緑に触れ合うことで季節の移ろいを感じる
  • 植物の変化や生育に関心をもつ
  • 植物に親しみ、命の大切さを学ぶ
  • 収穫を楽しみにしながら世話をしようとする
  • 栽培した野菜を収穫したり調理したりすることで、食に興味関心をもつ
保育園に通う子どもたちは、めいっぱい五感を使ってたくさんのことを吸収していく時期。花育や植物栽培には、感受性を育んだり、植物にまつわる知識を得たり、命の大切さに気づいたりとさまざまな学びがあります。自分で植物を育てる経験は、達成感や自信にも繋がり、子どもたちが心身共に大きく成長するきっかけにもなるでしょう。

花育・植物栽培(園芸)の実施状況

ほいくisで保育者の皆さんに園での花育・植物栽培(園芸)の実施状況についてのアンケートを実施しました。ここからはアンケートの結果を紹介します。

園での実施状況について

まずは、子どもたちと一緒に花育・植物栽培を行っているかについてお聞きしました。

質問1:保育園・幼稚園の活動で、子どもたちと一緒に園芸(花育・植物栽培)を行っていますか?
質問1の回答グラフ
結果は、「はい」と答えた方が57.1%、「いいえ」と答えた方が35.8%、「以前行っていたが、現在はしていない」と答えた方が7%でした。6割近くの園で花育・植物栽培が保育に取り入れられています。また途中で栽培活動を辞めた園は少なく、一度花育・植物栽培を取り入れた園は、高い割合で継続していることが分かります。

花育・植物栽培を実施するときの課題 

次に、質問1で「いいえ」「以前行っていたが、現在はしていない」と回答した方に、保育に花育・植物栽培を取り入れるときの課題点や、導入に必要なことについてお聞きしました。フリーアンサーでいただいたさまざまな回答の中からピックアップしてご紹介します。

質問2:保育の中で花育・植物栽培を取り入れるときの課題点や導入に必要だと思うことを教えてください

【立地の問題】
口コミ投稿した保育者
保育者

ビル内で園庭がないため、土を使った栽培が出来ません。以前水を使った栽培キットを使い行っていたが、その企業がやめてしまったため都合の合うものがなく、出来ていません。

口コミ投稿した保育者2
保育者

小規模のため、スペースが限られ、園庭がない等の問題があります。

口コミ投稿した保育者3
保育者

マンションの一階に入っている園なので、日当たりが悪く植物が育ちにくいです。職員の栽培に関する知識不足もあります。

【指導面での問題】
口コミ投稿した保育者4
保育者

思うように、成長しなかったり、個々の植物の成長のスピードが違ったりするときのフォローが難しいと感じます。 ある程度、園芸の知識が無いと残念な結果になるので、勉強するか、経験者からのレクチャーやサポートが必要です。ひとりの職員に負担がかからない工夫が必要だと思います。

口コミ投稿した保育者
保育者

保育教諭に園芸の知識がないので、いつも枯れてしまいます。園芸に携わる時間がとりにくく、やりっぱなしになってしまいます。

口コミ投稿した保育者2
保育者

保育士たちが日々の違う業務に追われ、園芸まで手が届きません。保育士人材の確保が先決です。 

【乳児担当のため】
口コミ投稿した保育者3
保育者

1歳児の担任のため、なかなか難しいです。ただ、植物を育てる事から様々な事が学べるので、簡単に子どもと育てられるものがあれば上司に相談、検討していきたいです。

口コミ投稿した保育者3
保育者

未満児しかいない保育所なので、小さい子でも参加できるよう、そして成長を感じることのできる観察の仕方を考えて行っていかなければと思います。

「スペースがない」「日当たりが悪い」「時間や人手が足りない」など物理的な課題があるとの声が多く寄せられました。また職員に植物栽培の知識・ノウハウがなく取り入れられないというケースも。未満児クラスなので今は実施してないけど、できる方法があれば検討したいとの声もありました。

園で花育・植物栽培を実施していないのは、環境や知識が整っていないからという理由が大きいようです。

園で行っている花育・植物栽培(園芸)を紹介

園芸をする様子
ここからは質問1で「はい」と答えた方に、園で行っている花育・植物栽培について詳しく伺った結果を紹介します。

育てたことがある植物

まずは、花育・植物栽培で育てた植物(草花や野菜など)についてお聞きしました。回答が多かった10位までの植物を紹介します。

質問3:保育園で育てたことがある植物は何ですか?

質問3の回答グラフ

花育・植物栽培で育てたことのある植物は園によってさまざまでした。他にはタマネギ・ブロッコリー・イチゴ・スイカなどの野菜や、アサガオ・ビオラなどが挙げられました。季節ごとに植える花を変えたり、地域の気候に合った品種を選んだりと工夫されているようです。

アンケート結果全体でみると、植物の中でも「野菜」が最も多く栽培されていました。野菜の栽培は「食育」にも繋がるため、育てている園が多いと考えられます。

保育園での栽培におすすめの植物

種まきをする子ども

ここで、花育・植物栽培を始めたいけど何を育てれば良いかわからないとお悩みの方に向けて、保育園での栽培におすすめの花と野菜を紹介します。

【花】

名前 植え付け時期 開花時期
チューリップ 7月~8月 3月下旬~5月上旬
朝顔 4月~5月 7月~9月
コスモス 4月~6月 7月~10月
パンジー・ビオラ 8月~9月 11月~6月
【野菜】
名前 植え付け時期 収穫時期
キュウリ 4月~5月 6月~10月
オクラ 5月~6月 7月~8月
ミニトマト 4月~5月 6月~7月
サツマイモ 5月~6月 10月~11月
ジャガイモ 3月~4月 6月~7月
参考:
家庭菜園 野菜栽培マニュアル(外部サイト)
花栽培基礎講座(外部サイト)

上記の植物は比較的育てやすいため、園での花育・植物栽培活動に向いています。コンパクトなプランターで栽培できるものもあるので、畑や花壇がない園でも手軽に取り入れることができますよ。

子どもたちとの作業分担

次に、子どもたちと作業(種まき、水やり、収穫)をどのように分担したかについてお聞きしました。フリーアンサーでいただいたさまざまな回答の中からピックアップしてご紹介します。

質問4:植物を育てるときの作業(種まき、水やり、収穫)は、子どもたちとどのように分担しましたか?

【0~2歳児】
口コミ投稿した保育者3
保育者

乳児クラスではサツマイモを園庭に埋めるところから水やり・収穫まで行っています。年長児は何を育てたいか、また何が育てられるかを話し合い、苗やタネを買いに行くところから始めます。さらに、畑の整備から日々の手入れ、収穫まで行いました。 

口コミ投稿した保育者4
保育者

0〜2歳児は保育士と一緒に、苗植えをし、戸外に出る前に水やりをしていました。園庭で水遊びをする時に、ジョウロで水やりをしました。 

口コミ投稿した保育者
保育者

0歳児、1歳児は保育者と一緒にチューリップの球根を植えて、水やりも行いました。

口コミ投稿した保育者2
保育者

2歳児で球根を1人1個ずつ植えました。その後、毎日水やりを子どもと一緒に行って成長を見守っています。

【3~5歳児】
口コミ投稿した保育者3
保育者

年長児のみの活動。日々の水やりを朝の活動に取り入れて観察したり、土曜日保育では登園している年長児と一緒に週末は水やりを行ったりしています。

口コミ投稿した保育者4
保育者

3、4、5歳児の縦割り保育で、苗や球根を一緒に植えて、お世話係を作り、水やりをしました。収穫はミニトマトは手で取れるので、未満児クラスにも参加してもらい、キュウリやオクラはハサミの使えるクラスで行いました。

口コミ投稿した保育者
保育者

3歳児は植木鉢の土に球根が入るように自分で穴を開けて植え、土をかぶせてもらいました。水やりは子ども自身で行うようにしました。5歳児は野菜を植えてから収穫まで、援助はあったものの、子どもたちが全て行いました。

口コミ投稿した保育者2
保育者

4歳児で、苗を一緒に植えて水やりを毎日行いました。収穫後、給食室で調理してもらい、給食と一緒に食べました。

幼児クラスは種まきや水やりを子どもたち自身で行っているとの回答が多く寄せられました。特に5歳児は何を育てるかの話し合いから自分たちで行う園もあるようです。乳児クラスは保育者や幼児クラスの子どもたちと一緒に苗植えや水やりを行っているようです。

年齢に合わせた作業分担を行うことで、一人ひとりが無理なく花育・植物栽培活動を楽しめそうですね。

花育・植物栽培を取り入れた感想

最後に、保育に花育・植物栽培を取り入れた感想についてお聞きしました。フリーアンサーでいただいたさまざまな回答の中からピックアップしてご紹介します。

質問5:保育に花育・植物栽培を取り入れた感想を教えてください

【食育につながった】
口コミ投稿した保育者3
保育者

自分で育てることで、給食を楽しみにしている子が多く、そして給食に入ってる育てた食材があることで、苦手なものもたくさん食べるようになりました。

口コミ投稿した保育者4
保育者

目に見える野菜の成長を日々喜ぶことができました。収穫では嫌いなものも食べてしまったり、大根の葉っぱを生で食べてみたりと、野菜を身近に感じる子どもの姿が見られ、続けていきたい取り組みだと思いました。

【自然を観察する楽しさを伝えられた】
口コミ投稿した保育者
保育者

野菜や花の成長を身近に感じることができました。野菜スタンプをして生の野菜に触れたり、断面の面白さを感じられたりもしたように思います。 

口コミ投稿した保育者2
保育者

毎日目にする事で、茎のうぶ毛や葉っぱの色の変化などの小さな事象を発見しており、子どもながらに発見が多くてみんなで植物の成長を共有して楽しめました。

口コミ投稿した保育者3
保育者

育てている野菜や花だけでなく、取り巻く自然環境にふれて感じることができました。虫やカラスが葉や野菜を食べてしまうことや、晴れの日が続くと葉がしおれることなどを知りました。

【子どもたちの心の成長につながった】
口コミ投稿した保育者4
保育者

野菜苦手な子も挑戦して食べてみたり、毎日花が咲くのを楽しみに登園してきて親子の会話にも繋がったと思います。

口コミ投稿した保育者
保育者

野菜に親しみをもてる、当番制なので責任感が育つ、試行錯誤する中で考える力が育つなど多くのメリットがあるなと感じました。

口コミ投稿した保育者2
保育者

子どもたちが、保育園で育てている草花以外の草花も大切にするようになるので、とてもよい取り組みだと思いました。

自分たちで作った野菜を食べる経験が食育に繋がるとの回答が多く寄せられました。他にも植物や自然に興味をもつようになったり、親子の会話のきっかけになったり、責任感を養えたりとポジティブな意見が多かったです。

園庭に花壇や畑を作ることで、園の環境づくりの一つにもなります。花育・植物栽培はさまざまな面からメリットの大きい活動と言えそうです。

『花育・植物栽培』を保育に取り入れよう

今回は、保育園で行う花育・植物栽培活動についてのアンケート結果を紹介しました。自然への興味関心を育んだり、食育の一環になったりと子どもたちのさまざまな学びに繋がる栽培活動。ぜひ本記事を参考に、保育に取り入れてみてくださいね。
 
<アンケート調査について>
調査期間:2024年3月1日~8日/調査方法:ほいくisでアンケートを実施/調査対象:ほいくisメンバー(会員)/有効回答数:1問目「保育園・幼稚園の活動で、子どもたちと一緒に園芸を行っていますか?」285件、2問目「質問1で『はい』と答えた方にお聞きします。園芸での作業(種まき、水やり、収穫)について、子どもたちとどのように分担しましたか?子どもたちの年齢もあわせて教えてください。」162件、3問目「質問1で『はい』と答えた方にお聞きします。それはどんなコツですか?(フリーアンサー)」160件、4問目「質問1で『はい』と答えた方にお聞きします。保育に園芸の活動を取り入れてみた感想を教えてください。(フリーアンサー)」158件、5問目「質問1で『いいえ』と答えた方にお聞きします。お勤めの施設で園芸を取り入れるうえでの課題点・導入に必要なことがあれば教えてください。(フリーアンサー)」94件
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