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【5周年特集】2019年~2024年の保育業界を振り返る

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ほいくis(ほいくいず)が誕生した2019年は、元号が平成から令和に変わった区切りの年でした。それからの5年間を振り返ると、保育業界のターニングポイントとなる出来事がいくつも起きていたことに改めて気付かされます。そこで今回は5周年特集として、2019年から2024年の保育業界のトピックスを、私たちの歩みと共に振り返ります。

2024年の“今”に繋がる5年間

「5」の形をしたプレートを持っている子どもの手
今から遡ること5年前。2019年は、元号が平成から令和に変わった区切りの年でした。その年の7月8日に、私たち「ほいくis(ほいくいず)」は誕生しました。“保育の総合情報プラットフォーム”を目指す記念すべき第一歩でした。

それ以来私たちは、保育業界とそこを取り巻く社会環境の動きをずっと見続けてきました。この5年間を改めて振り返ると、後の保育業界に大きな変化をもたらす出来事が特に多かった期間ではなかったかと感じます。一つひとつを見ても、ターニングポイントと言えるトピックスは、例外なく2024年の“今”に繋がっていることが分かります。

今回は、ほいくis誕生5周年の特別企画として、2019年から2024年の5年間に起きた保育業界のトピックをご紹介します。また合わせて、私たち「ほいくis」の歩みについても少し振り返りたいと思います。

ぜひ皆さんも、「5年前はどうしていたかな?」と、自分自身のことを思い出しながら読んでみてくださいね。

2019年の保育業界

この年の5月に「平成」から「令和」となった2019年。少し遡ると、前年2018年(平成30年)の4月に、「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」の、いわゆる“3要領・指針”が同時施行となりました。多くの部分が共通化された新しい指針の基で、保育現場が動き出した年でもありました。この年に起こった出来事をピックアップして振り返ります。

滋賀県大津市で園児・職員が死傷する交通事故|5月

この年の5月8日、滋賀県大津市内の交差点で車同士の衝突事故が発生し、その弾みで軽乗用車が散歩中の園児らの列に突っ込みました。この事故により園児2名が死亡、また園児と保育士合わせて14名が重軽傷を負うという、痛ましい結果となりました。ニュースを聞いて、心を痛めた保育関係者も多かったと思います。

その後も園児が巻き込まれる交通事故が相次いたことを受け、内閣府と厚生労働省は、同年11月に園児の安全を確保するための新たな道路区域「キッズゾーン」を創設することを発表しました。

台風による保育施設の被害が相次ぐ|9月・10月

2019年の台風19号の影響で崩落した道路
台風の当たり年とも言える年となり、9月に発生した台風15号が南関東を中心に、また10月に発生した台風19号が関東・甲信・東北の各地域を中心に大きな被害をもたらしました。

台風15号の被害を受けた神奈川県横須賀市の保育園では、強風で園舎の屋根が剥がれてしまい、近くの小学校で代替の保育を実施することに。また、台風19号の被災地域では、少なくとも認定こども園、幼稚園、保育園の195施設が浸水などの被害を受けたという報道がありました。中には近隣の川の堤防が決壊し、天井近くまで水が達したところもあったそうです。保育施設では、台風を始めとする水害対策についての見直しや、BCP(事業継続計画)の策定、対応手順の確認が行われるきっかけとなりました。

「幼児教育・保育の無償化」がスタート|10月

「幼児教育保育の無償化」と書かれたフリップを持った子どもたち

この年の10月1日に、国の政策に基づく「幼児教育・保育の無償化」制度が導入されました。これにより、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3歳から5歳までの子どもたちと、住民税非課税世帯の0歳から2歳までの子どもたちの利用料が無料となりました。 
 
略して「幼保無償化」とも呼ばれましたが、施設形態などにより上限額や条件が細かく設定されていることもあり、保育現場では保護者からの問い合わせが増え、説明に追われる場面もありました。
 
【参考】令和元年10月から幼児教育・保育の無償化がスタート/こども家庭庁  >>詳細はこちら

ほいくisの出来事|2019年

元号が令和となって2か月が過ぎた7月8日に「ほいくis」がオープン。記事が100本という小さなスタートでしたが、“保育の総合情報プラットフォーム”に向けた確実な第一歩を踏み出しました。
  • 2019年7月 ほいくis公開

2020年の保育業界

2020年(令和2年)は、保育現場だけでなく、社会全体が新型コロナウイルス感染症に翻弄される始まりの年でした。この年に起こった出来事をピックアップして振り返ります。

新型コロナウイルス感染症の流行|1月

「COVID-19」と書かれたウイルスのイメージイラスト
この年の1月16日に、国内初の新型コロナウイルス感染者が確認され、同4月には、各都道府県から最初の緊急事態宣言が発出されました。以降の混乱の数々は、多くの方の知るところだと思います。

保育現場では、保育者・子ども・保護者も含めた検温や体調確認、消毒の徹底を始め、密を避ける保育の工夫や、行事の人数制限などの対応に追われました。また、子どものマスク着用の判断を巡っては、厚生労働省から「2歳未満にマスクを着用させないこと」と注意喚起がされる事態にもなりました。正しい情報や裏付けデータも乏しい中、試行錯誤が繰り返されました。

2024年現在、コロナ過については子どもたちの発達に関する影響なども懸念され、その検証が待たれます。一方、保育現場では行事や業務のたな卸しと効率化、ICT化が急速に進んだ側面もありました。コロナ過でもたらされた変化について総括し、今後の保育のあり方を考える時期ではないでしょうか。

ほいくisの出来事|2020年

保育現場がコロナ禍で苦しむ中、「私たちにできることは何だろう?」という課題に向き合う1年となりました。その答えの一つが、7月にスタートした「保育Webセミナー」の配信。例年7~8月にかけて行われていた夏期講習会が軒並み中止となる中、オンライン配信で保育者の学びの場を確保する試みでした。
  • 2020年1月 YouTube公式チャンネルで手遊び歌動画の配信スタート
  • 2020年3月 初の保育士座談会を開催
  • 2020年7月 「保育Webセミナー」配信スタート
  • 2020年9月 会員登録制度を開始


2021年の保育業界

長年課題となっている待機児童問題を解決するための保育施設拡大政策と、それに伴う保育士不足の深刻化。「この状況はいつまで続くのか?」という問いに対して、国から一つの試算が公表されました。“保育の2025年問題”と言われるきっかけになった、保育業界にとってはターニングポイントとも言えるデータでした。この年に起こった出来事をピックアップして振り返ります。

福岡で園児のバス置き去り死事件が発生|7月

園バスの座席
この年の7月29日、福岡県中間市(なかまし)の私立認可保育園で、5歳の園児が登園時に乗った送迎バスに取り残され、熱中症で死亡するという事件が発生しました。 
 
園児の男の子は、鍵がかけられた送迎バスの車内におよそ9時間取り残されていましたが、当時バスを運転していた園長も、出迎えた職員も降車の確認を十分にせず、またその後も園児が欠席したと思い込んで保護者への確認を怠っていたとのこと。当時の園長と関係した保育士ら職員4名が業務上過失致死の疑いで在宅起訴され、後に有罪判決となりました。

“保育の2025年問題”に注目が集まる|5月

「2025年問題」と書かれた積み木
この年の5月に厚生労働省が公表した資料「保育を取り巻く状況について/厚生労働省子ども家庭局保育課」において、保育所の利用児童数は2025年(令和7年)にピークをむかえ、その後はゆるやかに減少していくことが見込まれるという内容の試算が示されました。

それ以前から「選ばれる園の時代が来る」ことは言われていましたが、この資料の公表により、近い将来に保育施設の供給が利用児童数を上回り、定員割れや経営悪化に陥る可能性があるということが具体的なデータと共に浮き彫りになりました。後に“保育の2025年問題”と呼ばれるきっかけとなるニュースでした。

ほいくisの出来事|2021年

オープン3年目を迎えたこの年は、新しいサービスや企画を積極的に展開。一方通行の情報発信ではなく、保育者の皆さんとのコミュニケーション拡大に取り組んだ1年となりました。
  • 2021年4月 公式Instagramが1万フォロワーを突破
  • 2021年5月 保育者コミュニティ「ほいくのQ&Aひろば」オープン
  • 2021年6月 絵本・保育関連書籍データベース「ほいくisライブラリ」オープン
  • 2021年7月 初のインスタライブを開催
  • 2021年8月 LINEオリジナルスタンプの販売を開始
  • 2021年12月 てぃ先生をゲストに迎えて第2回インスタライブを開催
  • 2021年12月 公式Instagramが5万フォロワーを突破


2022年の保育業界

前年に続いて発生してしまった園バス置き去り死事件。また、大きく報道されることとなった“不適切な保育”に関する事件の発生により、保育現場が長年抱えてきた問題に対する社会的な関心が高まる年となりました。この年に起こった出来事をピックアップして振り返ります。

前年に続き園バス置き去り死事件が発生|9月

この年の9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園で3歳の園児が送迎バスに置き去りとなり、重度の熱中症で命を落としました。前年7月に福岡で発生した事件に続き、2年連続で発生した痛ましい出来事に保育関係者も大きなショックを受けました。 
 
一連の事件を受け、国は2023年(令和5年)4月から、保育施設などで使われる送迎バスへの置き去り防止安全装置の設置を義務化しました。

不適切な保育の報道が相次ぐ|12月

包帯が巻かれたハートのオブジェが隣に置かれた保育園のモノクロ写真
この年の12月、静岡県裾野市にある私立認可保育園で、保育士3人が園児に対する暴行容疑で逮捕されました。後に裾野市から公表された報告によると、園児に対する身体的な暴行や脅し・暴言を浴びせるなどの虐待行為は「不適切な保育」にあたるとされました。

また同月には、富山県富山市の私立認定こども園で、保育教諭2人が園児に対する虐待行為の疑いで書類送検される事案が発生しました。これらをきっかけに、全国各地から不適切な保育に関する報道が相次ぎました。

2024年現在でも不適切な保育に関する報道は続いており、保育業界が抱える大きな問題となっています。

ほいくisの出来事|2022年

公式キャラクターの名前をユーザーの皆さんから募集。4年目にして、正式に「ココ」「ロロ」という名前が決まった記念すべき年となりました。また、人気サービスである「ほいくisダウンロード」がこの年オープンしました。
  • 2022年4月 公式キャラクターの名前が「ココ」「ロロ」に決定
  • 2022年7月 「園会員」サービス開始
  • 2022年11月 素材提供サービス「ほいくisダウンロード」オープン
  • 2022年12月 「最新の保育ニュース」配信開始

2023年の保育業界

この年の2月に国が公表した「年間出生数80万人割れ」の統計が、大きな危機感を持って受け止められました。同4月の「こども家庭庁」発足のニュースと共に、国の最重要課題としての少子化対策が大きくクローズアップされ始めた年となりました。この年に起こった出来事をピックアップして振り返ります。

出生数が初の年間80万人割れ|2月

少子化のデータを示したグラフイメージ
この年の2月28日に厚生労働省が発表した2022年の国内出生数(速報値)によると、前年比5.1%減の79万9,728人と、統計開始以来初の80万人割れとなったことが分かりました。想定されていたと少子化トレンドがさらに加速した結果となりましたが、コロナ禍の影響で婚姻件数が減少したことも一因と伝えられました。

こども家庭庁発足/こども基本法施行|4月

「こども家庭庁」と書かれた積み木
この年の4月1日に、子ども政策の司令塔となる新たな行政機関「こども家庭庁」が発足。総理大臣直属の機関として内閣府の外局に位置付けられ、管轄する子ども政策担当の内閣府特命担当大臣には、関連する各省庁への勧告権が与えられました。幼児教育・保育に限らず、虐待やいじめ、ひとり親家庭、ヤングケアラーなど、困難を抱える子どもや家庭の支援も含めた幅広い政策の推進を担っていくことになります。

これに伴い、保育園の監督官庁が厚生労働省から、認定こども園が内閣府からそれぞれこども家庭庁に移管されました。幼稚園は引き続き文部科学省となりましたが、子ども政策の調整については、こども家庭庁と文部科学省が連携・協議をしていくとされています。

また同時に、日本で初めて「子どもの権利を総合的に保障する」ために作られた法律である「こども基本法」が施行されました。日本国憲法と「子どもの権利条約(国際条約・日本は1994年に批准)」に基づき、心身の発達過程にある「子ども」も大人と同じように権利を持つ主体として尊重され、基本的人権が保障されることが定められています。

こども未来戦略が閣議決定|12月

この年の12月22日に、「こども未来戦略」が閣議決定されました。加速する少子化に歯止めをかけるための具体的な施策メニューが盛り込まれており、今後のこども・子育て政策全体の方向性を示す内容となっています。

保育に関連する内容としては、基本方針として「量の拡大から質の向上」に重点を移すことが示され、配置基準の改定や「こども誰でも通園制度」の創設、病児保育の単価引き上げなどの施策が含まれています。

ほいくisの出来事|2023年

サービスの種類が増えてきたことを受け、ユーザーの皆さんが使いやすい環境にアップデートしていくことを目的に、新会員制度「ほいくisメンバー」を導入。より便利で役立つサイトに進化しました。
  • 2023年9月 新会員制度「ほいくisメンバー」スタート
  • 2023年9月 求人情報データベース「ほいくisお仕事探し」サービス開始
>>ほいくisお仕事探し
  • 2023年12月 公式Instagramが10万フォロワーを突破

2024年の保育業界

2024年(令和6年)は、前年の12月に閣議決定された「こども未来戦略」に基づくさまざまな政策が実行に移される年となります。この年に起こった出来事・予定されている出来事をピックアップしてご紹介します。

3・4・5歳児の配置基準を見直し|4月

2024年4月から、3歳児・4歳児・5歳児クラスの保育士の配置基準が改定されました。3歳児では、従来の「子ども20人につき保育士1人以上」の配置が「子ども15人」に、また4歳児・5歳児では、従来の「子ども30人につき保育士1人以上」の配置が「子ども25人」となりました。

近年高まっている保育の質に関する議論を受けての対応でしたが、3歳児については55年ぶり、4・5歳児については実に76年ぶりの改定でした。

保育士の職場環境の改善や、保育の質の向上が期待される一方で、基準を満たす保育士の数が確保できない園が増えてしまうという課題も指摘されていて、今後の動向が注目されます。

「こども誰でも通園制度」の導入

子どもを抱いた保護者と話をする保育士
「こども誰でも通園制度」とは、保護者の就労状況にかかわらず、0〜2歳児の子どもを一時的に保育園に預けることができる制度。目的は、家庭で育てられている0〜2歳児の成育環境の整備や、孤立した育児で疲弊している保護者への支援です。

対象年齢は、0歳6か月から3歳未満。保育所・認定こども園・幼稚園のほか、地域子育て支援拠点、児童発達支援センターなどで預かり、利用時間としては1人あたり「月10時間」を上限としています。

令和8年度(2026年度)に全国で本格的に実施されることが決まっていて、令和6年度(2024年度)は、全国約150の自治体で試験導入が進められています。

日本版DBSの導入が決定|6月

「日本版DBS」は、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴の有無を、雇用する事業者が確認する制度。2024年6月に、この制度を導入するための法律が成立しました。

DBSは「Disclosure and Barring Service (前歴開示・前歴者就業制限機構)」の略で、今回の制度のモデルとなったイギリスの公的機関のこと。同制度では、事業者はこども家庭庁を通して法務省に照会をし、子どもと接する仕事に就く従業員に性犯罪歴が無いかの確認をします。認可保育所や学校には確認が義務付けられていて、もし性犯罪歴が確認された場合は、子どもと接触しない業務への配置転換などの対応が求められます。

ほいくisの出来事|2024年

年明け早々に、新サービス「ほいくisオンライン研修」をオープン。2024年も引き続き、保育者の皆さんの役に立つ新しいサービスや企画を提供していきます。どのような進化を遂げるのかお楽しみに!
  • 2024年1月 研修プラットフォーム「ほいくisオンライン研修」オープン
  • 2024年1月 インスタライブ/YouTubeライブ開催
  • 2024年1月 スケジュール管理アプリ「TimeTree」への配信を開始
  • 2024年6月 公式Instagramが14万フォロワーを突破

保育の未来を考えるきっかけに

2019年~2024年までの5年間を振り返りましたが、皆さんの保育にはどのような変化や喜びがあったでしょうか?

今回は、悲しい事件や事故、ネガティブなニュースなど、保育業界の課題が浮き彫りとなるトピックが多いように感じられたかもしれません。しかし、これから5年・10年先の保育の未来を描く時には避けて通れない道だと考え、敢えてピックアップしました。皆さんと一緒に考えていくきっかけになれば幸いです。

ほいくisはお陰さまで5歳の誕生日を無事迎えることができました。園で言えば年長さんクラスの仲間入りですね(笑)。これからも、保育者目線で役に立つサービスと情報を提供していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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